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    melrose_E

    えれめんたるの某村に住んでるよ
    HLなうちよそのお話をupするよ。

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    melrose_E

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    FF14二次創作。
    ヒカセンヴィエラのルカくんと単なる超える力持ちの冒険者メルルのお話。
    エタバン後数年経過してすっかり夫婦な二人のお話。

    静かに降り積もるのは「メルさん、起きてっ」
     今朝目が覚めた時に、今日はゆっくり寝ていていいよと言われたのをいいことにお布団の中で微睡んでいたのだけれど、寝ていていいと言った張本人に体を揺さぶられて私は目を覚ました。サイドテーブルに置いてある時計を見れば、とっくに起き出して朝食も食べ終わっているような時間だった。まだ全身の倦怠感は残っているけれど、いつまでも惰眠をむさぼるのはやはり戸惑われるので、素直に起きることにした。
     それにしてもいったいどうしたのだろうか。ルカくんに朝起こされることは時々あるけれどこんな風に起こされたことなんてない。寝起きでぼうっとする頭で考えること数秒。思いだした。こんないつまでもお布団に入っていたらダメだ。今日は二人で星芒祭を楽しもうと予定していたのだ。そもそもそれなのにどうして昨夜あんな、と思わないでもないけれど。そうしたらこんなお布団から出るのが億劫なことになんてならなかったのに。
    「……おはよう、ルカくん」
     やっとの思いで体を起こし、瞼を持ち上げれば目の前にルカくんの顔があってびっくりした。目を瞬かせている間に挨拶の言葉と一緒におでこ、目尻、頬と順番に唇が触れていく。こんなことじゃ誤魔化されないぞという意志でルカくんを睨むけれどあまり効果があるとは思えない。だってにこにこ笑っている。
    「それで、どうしたの?」
    「うん、起こしてごめん。でもどうしても早く見せたくて」
     にこにこそわそわとしながら、ルカくんは私にいつも室内で着ているカーディガンとは別の上着を着せた。確かに寝起きだから部屋の中は少しひいやりしているように感じるけれど、おそらく階下で火を使っていたのだろう、厚手の上着を着込むほどではない。
    「ねえ、ルカくん。こんな厚着をしていたらお外に出た時寒いよ?」
     今日出掛ける予定をなかったことにするのだろうか。それでも私はかまわないけれど、厚着は勘弁してほしい。冬に家の中で汗をかきたくはない。
    「ちょっとだけだから」
     何がちょっとなのかさっぱりわからないし、それ以上何も説明がない。どういうことなのかと問いかけようとしたら、抱き上げられた。
    「ルカくん?!」
     確かに私はヴィエラのルカくんからしたら小さな子供のようなものだろうが、ララフェルは見た目に反して重い。まして私は一応冒険者でルカくん程ではないけれど魔獣と戦うこともある。柔らかい柔らかいと言われるけれどちゃんと鍛えているのだ。相応に重い。はず。
     暴れれば逆に危ないと思って大人しくしているけれど、それにしてもこうして運ばれるのは恥ずかしい。私がこんな風に抱きかかえられてしまうとどう見ても歳が離れた兄妹に見えるだろうし。自分たちの家に誰かが泊まりに来ているとかでもないし、この状態を見る人なんていないのだけれど。それでも。
    「ねえ、ルカくん。どうしたの? 何があったの?」
    「うん? どうしても早く見せたくて!」
    「っ!」
     何をと問いかける前に階段から飛び降りた。危うく舌を噛むところだった。危ない。
    「ルカくん、階段はちゃんと降りないと危ないでしょうっ!」
    「うん、でも早くしないと」
     ルカくんは器用に私を左腕だけに抱き直すと、玄関扉を開けた。想像していたよりも冷たい空気に思わず首をすくめる。家の中が暖かかったからわからなかったけれど今日は随分と冷え込んでいたようだ。
    「メルさん、見て」
     ルカくんが指し示すのは庭にあるガゼボ。そこには頭に葉っぱが二つ、兎の耳のように飾られた大きなの雪だるまに小さな雪だるまが寄り添っていた。
    「え、雪だるま! 可愛い!」
    「可愛く出来たかな?」
    「うん……って朝作ったの? 寒かったでしょう!」
    「大丈夫。ほら、生まれた場所は雪が多い地域だったから」
     そうは言っても、庭一面真っ白になっている。近くの他の家の屋根ももちろん白い。一晩でそれだけ降ったのかもしれないが、もしかしたらルカくんが雪だるまを作った時はまだ雪が降っていたのではないだろうか。でも嬉しそうに笑っている姿を見ると怒ることも出来ない。
    「今はやんでるけれど、また降るかもね」
     ルカくんの言葉に空を見上げてみれば、確かに重い雲が空を覆っていた。いつ雪が降ってきても不思議ではない空模様だ。
    「あっという間に冬になっちゃったねえ」
     エオルゼアではこうして雪が降り始めるとしばらくの間雪が続く。それでもグリダニアでクルザス地方の方に雪が積もって大変なことにはならないからありがたいことだ。こうして少しばかり積もる程度だから楽しく過ごせる。でもクルザスも山々はあんなに雪に覆われているのでイシュガルドは雪で大変という印象はない。もしかしたら何か雪が積もらないような仕組みが街に施されているのかもしれない。
    「あ、降ってきたね」
     ちらりちらりと白いつぶが空から落ちてきた。手を差し伸べればちょうど手のひらに雪が落ちてきた。微妙に形の違う花の粒がいくつも重なっている。もっとも、私の手のひらでそれらはすぐに溶けて水になってしまったのだけれど。
    「あぁ……手袋をしてくれば良かった……」
     まさか外に出るなんて思っていなかったし雪が降るとも思っていなかったから仕方がないのだけれど。見上げればルカくんの髪にもいくつも雪の欠片がついている。
    「ふふ、ルカくん髪の毛真っ白になっちゃうね」
     実際には真っ白になるまで外にいたら風邪を引いてしまうし、そんな状態になるまで外に立たせるなんてことさせないから、そんな姿を見る機会はないけれど。
    「白くなったら嫌?」
    「ううん。きっと真っ白になってもルカくんはかっこいいと思うよ」
     雪ではなくて。いつか遠い未来。ルカくんの髪が白くなる時がもしかしたらくるのだろう。ただ、私はその姿を見ることはできないだろうけれど。
    「へくちっ」
     上着を着ているとはいえ、寝起きに屋外はよろしくなかったらしい。しかも雪まで降ってきたのだ。思っている以上に冷え込んでいるのだろう。それにしたってしんみりとした気分が台無しだ。
    「ごめん、家に入ろう!」
    「うん。雪は後でゆっくり楽しもう」
     二度寝をしたけれど、まだまだ朝といっていい時間だ。まだまだ時間はたっぷりある。朝ご飯を食べたらしっかりと暖かい格好をして雪を楽しもう。ああきっと星芒祭の飾りにも雪が積もっているのだろう。それを見るのも楽しみだ。
    「それにしても……雪を見せるためにわざわざ起こしたの?」
    「だってメルさん好きだから……喜ぶと思って」
     確かに雪は好きだけれど。寝起きに寝間着の上に上着を着て楽しむものではないだろうに。でも私の好きなものだからと急いでくれた気持ちは嬉しいから、今回は許してあげよう。
    「それで、雪だるまも作っちゃったの?」
    「うん」
     仕方のない人だ。もうルカくんと知り合って、こうして一緒になって何年も経つけれど。未だに子供みたいなところがあって、それがとても愛おしい。
    「急がなくても雪は逃げないんだし、今度はちゃんと着替えさせてね」
     抱きかかえられているお陰でいつもよりも断然近くにある頬にキスをしてお願いをした。これでもうこんな風に連れ出されることはないだろう。
    「あと、朝ご飯食べたら一緒に雪だるま作ろう?」
     私に叱られたと思ったらしくしょんぼりしてしまったルカくんだったけれど、ぱっと目を輝かせた。やっぱりこういうところは子供みたい。
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    melrose_E

    DONE暑い日が続くので。涼しいお話を書きたいなってなったのです。
    あと純粋に新しい水着を仕入れたので…

    ヴィエラとララフェルのCPの小話。勢いで書いてるので誤字脱字等々ご容赦くださいな。
    眩しすぎるのは太陽じゃなくて 今日の朝ごはんは私が作った父さん直伝のドードーオムレツと、ルカくんが作ったパースニップサラダにウォルナットブレッド。ウォルナットブレッドは私が食べやすいようにちょっと小さく丸い。しかもほんのり甘い。私の大好きなパン。
     二人でキッチンに立って準備をした朝食は簡単なものばかりだけれど美味しい。何より二人で作って、同じものを食べる日々が楽しい。
    「ねえメルさん海に行かない?」
     オレンジジュースを口に含んだところで突然のお誘い。ちょっと驚いた。
    「この前新しい水着、買ってたよね?」
     確かに買った。去年貰った水着も嫌いではないけれど、先日タタルさんから譲ってもらった無人島で交易を頑張って頑張って頑張ってやっと勝った水着は上に半袖のシャツを羽織れるようにとセットになっていたから重宝しそうだなあと思ったのは確かだ。普通の水着と違って、そのシャツに合わせたショートパンツもあったから、海に入らないにしても暑い時にはいいかもしれないと思って。買ってすぐにルカくんに見せたのも事実なんだけれど。
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