からっぽ雲ひとつない夏の空から降り注ぐ日差しの中で、ひとっこひとりいない、誰も知らない真っ白な浜辺で大好きな君と遊ぶ。ズボンをたくし上げてざぶ、ざぶ。やわらかい砂に足が沈む感覚がくすぐったい。
「えい」
ざばりと海水を手で巻き上げて、波打ち際で遠くを眺めている彼に浴びせかける。
「 ざぶ、ざぶ 」
ほっぺたを少し赤くして怒った、でもどこか楽しそうな顔で、彼もこっちに来た。きっと文句を言ってるはずなのに、波に言葉が攫われてしまって聞こえない。
ばしゃん。仕返しといわんばかりに彼も僕に海水を浴びせてくる。彼は得意げな顔をして楽しそうだ。
濡れた服が肌に張り付いてちょっと動きにくいけど、それさえも楽しい。
「あはは、楽しいね!」
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