いつかはきっとはらのなか「君の体で、一番おいしいのはきっと目だと思うんだ。飴玉みたいにあまくって、とろけるような味がするだろうなぁ」
蒸した空気。気怠い体と回らない頭でぼんやり言葉をこぼす。小刻みに呼吸を繰り返し、まっしろな肢体をうすももで染め上げて白の海でぴくぴくとはねていた彼も、きっと頭がとろけていて、こっちを向き、ゆるとわらって会話を続けてくれた。
「たべるのか?おれを?」
「さあね。きみが僕より先に死んでしまったら、もしかすると食べてしまうかもね」
「そうか。そうか…」
ゆっくりと、茫洋ときれいな紫を動かしながら言葉を探す。そしてなにかを捉えたようにひたりと動きが止まった後に、きれいな紫を瞼が覆い隠した。
「きっとぼくはきみが死んだときにとっくにおかしくなってるだろうさ」
「俺がしぬ、たったそれだけで?」
僕が暴いて汚したのに、いつまでたっても綺麗なままの柔らかな甘い声と顔。瞬きを繰り返す。空気を含んだまぶたの裏側がグニュグニュと音をたてる。