「やっと見つけたよ」
瓦礫が辺りに散乱しとても人が訪れる事はないと思う程に真っ暗な場所で男は鼻歌でも歌いそうな程に上機嫌のまま真下を見下ろしていた。
ここは渓谷の最下層。それも危険地帯とされている場所だ。そんな場所に貴族の様な上質な服を身に纏い淡い紫の髪を緩やかに一つ結びにしていた男が自分の背丈の半分より少し高い棺桶を抱え立っていた。余りの奇妙さにだからだろうか、生物は一匹その場におらず更に風さえも吹く事がない
男は棺桶を地面に寝かせ慣れた手つきで蓋を開け予め持って来ていた紫と水色が混ざり合った花を敷き詰めていく
「あ〜魂が抜けてる…はあしっかりしてクレメンス〜…結構面倒なんだよなあ呼び戻しとか…相変わらず意地が悪いよね〜…それ僕以外にしたら嫌われるから次から辞めた方が良いと思う。ま、僕以外にしたらそいつは殺しますが〜」
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