四畳一間のたたみごはん〜ペペロンチーノ〜 予想外に扉は開いた。
グエルは少し目を開いて驚く。
「てっきり鍵は変えてると思ったが……」
鍵穴に差し込んだ、五年前にもらった合鍵をまじまじと見つめる。用心深いあの男の性格ならば、もうとっくに鍵を変えていると思ったのだ。当時渡された鍵が今も使える、たったそれだけのことがグエルにじんわりとした懐かしさと安堵をもたらした。
音を軋ませながら、古いアパートのドアを開ける。
時刻は夜七時。薄暗いその部屋は殺風景で、ほとんど生活感を感じない。一つ隣の自分の部屋と全く同じ造りの部屋だ。しかしどことなくあの男の匂いを感じる。
グエルは遠慮なく靴を脱いで部屋に上がると、手に提げていたビニール袋を揺らしながら部屋の奥に入っていく。
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