雨雨が長引き、予想以上に帰りが遅くなってしまった
今日の予定は視察のあと、ヴィンセントさんのレッスンが入っていた
もう、30分も遅れている
お城に到着し、急いで降りようとするとタイミングよく扉が開いてシミアンさんが顔をだした
「姫様、お帰りなさいませ!この雨でさぞお疲れになったでしょう!ささ!!私の胸に飛び込んでください!」
傘をさしながら器用に両手を広げるシミアンさんを無視して本題に入った
「ヴィンセントさんのレッスンに遅刻してしまいました!シミアンさん!急いで部屋に!!」
慌てる私をよそに、シミアンさんは斜め後ろに振り返り第三者に話しかけた
「ですって、ヴィンス!」
「レッスンのことは、気になさらないでよろしいですよ」
黒い大きな傘から顔を覗かせたのはヴィンセントさんだった
「ヴィンスは鬼のように怖い顔をしていますが、姫様が無事に戻られるか心配して一緒に来たのですよ」
シミアンさんが、からかうように言うと恥ずかしいのかヴィンセントさんは咳払いをした
「これだけの大雨だ、なにかあっても不思議ではないだろ」
「そうですね」
「プリンセス、お手をどうぞ」
ヴィンセントさんが、馬車から降りやすいように手をとってくれた
「ありがとうございます」
手を握られドキドキしていると、肩を抱き寄せられた
「ヴィンセントさん?!」
ま、、、まさか、ヴィンセントさんも私のこと!!
ヴィンセントさんの顔から目が離せないでいると、割り込む声がした
「2人共!シミアンのこと忘れないでくださいよ!」
メソメソしてみせるシミアンさんにヴィンセントさんが呆れていた
「なにをバカなことを、、、プリンセス、濡れないよう内側に入ってください」
ヴィンセントさんの傘に入れられ、お城までの正門の道を歩く
肩が触れ合う距離にドキドキしながら
この時間が、少しでも長く続くように願った
おわり