Give me cigar喫煙者にますます当たりの強い世の中になってゆく。土方さんは僕の顔を覗き込んで、
「もう限界だろ」
と言ってくれる。しかし普段と違って僕のコンディションは上がらない。
「いや、もう少しなら」
「無理するてめぇを見てらんねぇんだよ」
骨ばった大きな手で頭を撫でられても、今の僕はうまく喜べない。
見た目いかにもヘビースモーカーな土方さんよりも、へらへらしている僕の方が重症ニコチン中毒なのだ。
ニコチン切れを感じてから喫煙OKの場所を探すのでは遅かった。チェーン店にも個人経営店にも貼ってある『全面禁煙』のステッカーが恨めしい。
うろうろしているうちに、大きな公園に出た。というより土方さんはここのことを念頭に入れて歩いていたようだ。
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