八日目、君のいない部屋でプロローグ
最初に一成との別れを意識したのは、あいつの目の下から隈が消えなくなった頃だった。
「――そのツラのやつと出かけるとかありえねーんだわ」
「や、大丈夫だって! ちょっと寝てないだけだし!」
声を抑えた押し問答が昼前の廊下に響く。ちょっと寝てないだけ、とはとても思えない顔色をしている一成と、それを部屋まで押し戻そうとしている俺が原因だ。
「ほら、今日やめたらもうドタキャン四回目じゃん? さすがにそれは申し訳ないしさ、」
下がった眉と申し訳なさそうな目のセットで押されても、ここで譲るわけにはいかない。ね、とダメ押ししてくる一成も引く気は無さそうだが、俺だってこいつの我儘を許す気なんて更々無かった。
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