resonance pale.1 高校3年の初夏、俺は企業主催の職業見学会に参加した。
場所は地元にある出版社。中規模で文芸作品の出版をメインにしながらも、医療論文誌や自治体が移住者向けに出すパンフレットも手がけている会社だ。出版社の仕事には以前から興味があった。
どれくらい以前から、といえば「前世から」と答えるほかない。
俺は、前世の記憶のほとんどを所持した状態で転生したのだ。
色々全部乗せの俺が、死後死神から素直に転生できたわけではない。死神として、規定年数で霊術院を卒業し一番隊に配属、京楽さんから直々に後釜教育を受けながら数百年。
「じゃ☆」と軽くフェードアウトした京楽さんの後を継いで慌ただしく総隊長になってから数百年。
一緒に退職した七尾さんが推薦してくれた優秀な副隊長を後釜として教育しながら、数百年。
3203