そのポケモンと目があったその瞬間、頭の中が真っ白になった。大切な記憶がサラサラと消え、零れ落ちていく。
そのふわふわとした感覚に思わず立っていられず、膝から崩れ落ち倒れそうになったところを青緑色の髪を持つ青年に受け止められ、ぐっと体を支えられた。
「私の名はスピネル。あなたの仲間です。何も怖いことなんてありませんよ、フリード博士」
「スピ、ネル……?」
「あなたをお連れしろとギベオン様から命令を受けましてね。お迎えに上がりました」
「仲間、じゃ、な……なん、で、おれ、を……?」
普通なら一瞬で何もわからなくなるはずなのだが、薄れ行く意識の中でフリードはまだ自分に関する記憶を保持していた。それにスピネルは目を見開き驚く。
3052