白は黒に縁取られる ノワールはホワイトが嫌いだった。
愛嬌がある、天眼がある、優しくしてくれるひともいる。何の罪の呵責もなく、毎日笑って過ごせる環境がある。
ノワールにない全てを持つホワイトが嫌いだ。
ノワールは目を眇めた。
「先生」、と。
「トゥルースさん」、と。
そう笑って呼んで許してくれる人に囲まれて、毎日を呑気に過ごしている。そんなホワイトが嫌いで嫌いで仕方ない。
不安定な天眼で視た自分の未来の姿に反吐が出る。
人は綺麗なまま生きられない。兄の手足となって数多の罪を犯した自分がその最たる例だ。
──嫌いだ。
ノワールは一歩、歩いた。
任務を失敗したのだ。メロディー家に役立たずはいらない。
だからノワールはその後始末を命じられた。
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