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    nameko135

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    ホワノワ(占占)/同一人物CP/全年齢

    #占占
    chamCham
    #ホワノワ

    白は黒に縁取られる ノワールはホワイトが嫌いだった。
     愛嬌がある、天眼がある、優しくしてくれるひともいる。何の罪の呵責もなく、毎日笑って過ごせる環境がある。
     ノワールにない全てを持つホワイトが嫌いだ。
     ノワールは目を眇めた。
    「先生」、と。
    「トゥルースさん」、と。
     そう笑って呼んで許してくれる人に囲まれて、毎日を呑気に過ごしている。そんなホワイトが嫌いで嫌いで仕方ない。
     不安定な天眼で視た自分の未来の姿に反吐が出る。
     人は綺麗なまま生きられない。兄の手足となって数多の罪を犯した自分がその最たる例だ。
     ──嫌いだ。
     ノワールは一歩、歩いた。
     任務を失敗したのだ。メロディー家に役立たずはいらない。
     だからノワールはその後始末を命じられた。
     だというのに、それすらまともにできなかった。
     ──ごめんなさい、当主様。
     ぽた、ぽた、と、ガラスで切った傷口から血が垂れる。落ちて、地面に染みて、灰になる。
     ごうごうと炎が燃えている。油に火をつけられ、ノワールの閉じ込められた瓦礫の中に撒き散らされたのだ。
     ノワールの黒髪を撫でる炎の勢いに、ああこれで終わりかと鼻の奥につんとしたものが広がった。
     結局、自分はこの世界に何も望まれなかった。どうして生まれてきたのかと言えば、のちに残るホワイトを生み出すためだとしか言えない。
     自分はあくまで物語のプロローグに過ぎなかった。
     物語の主人公は他の人間で、ホワイトはその脇役で、ノワールは脇役にすらなれない前日譚の背景だ。
    「いつか、ぼくはそういう過去があったと、それだけで語られてしまうんだろう」
     自嘲するようにノワールは笑った。でも、ノワールは笑うのが下手だから、そうしているともわからない、歪な笑みにしかならなかった。
     ノワールはついに膝をついた。燃える瓦礫から発せられた熱と空気がノワールの意識を削り取る。
     このあと救出されるのだ。知っている。天眼で視た。
     でも、ノワールは終わる。生きられるのは、生まれ変わってこの世に抱かれたホワイトだけだ。
     ノワールはけほ、と咳をした。体がうまく動かない。記憶の中で、昨日視た未来のホワイトが笑っていた。
     何か大切なものがあると、何もかも忘れた表情で笑っていた。
    「悔しいなあ……」
     悲しいなあ、寂しいなあ……。
    「いちどでいいから、ぼくも求められてみたかった」
     こんな状況で、初めて本音が漏れる。
     だっていいじゃないか、誰も聞いていないんだから。
     熱を持った壁にくたりと背を預ける。
     あ、そっか、と思った。
     ノワールは笑った。せせら笑うように、それを口にした。
    「ぼくは、きみになりたかったんだ……ホワイト」
     ごうごうと、炎が燃えている。
     救助の声が遠くで聞こえる。でももうこれで終わりだった。
     ──連れていくよ。ノワール。私の大切なきみ。
     最後に何か聞こえて、何かにぎゅうっと抱きしめられた、気がした。
     でも、それを確かめる前に、ノワールの意識はふつりと途切れてしまった。

     ◆◆◆

     今日も朝がやってきた。オルフェウス探偵事務所のねぼすけは、薄青い目を涙に濡らして小さく呟いた。ぎゅっと胸元を握る。
     とくん、とくん、と動く心臓は、ちゃんとここにある。
    「忘れないよ、きみを連れてく。……可哀想なきみは、ずっと、ずっと私だけの大事なきみだよ」
     夢を見た。ホワイトになりたかったと泣きながら笑う、可哀想なひとを視た。
     自分の遠く遠くの記憶の中で、炎に巻かれていなくなったひとを、ホワイトはすんでのところで掬い上げて抱きしめた。
     それを今も覚えている。
    『可哀想な、は余計だよ』
    「ノワール」
     はっとホワイトは顔を上げた。頭の中で聞こえる声に色がつく。
     黒に、一筋白いものの混じった髪を揺らして、ホワイトにだけ見えるもう一人の自分はじとっとした目で『ホワイトを見つめた』。
    『泣いてる、なにかあった?』
    「ごめんね、昔のこと思い出して」
    『……そう』
     二重人格というものがあるのなら、きっとこれがそうなのだろう。
     極限状況でホワイトというもう一つの人格に身体を明け渡したノワールは、そのホワイトにしがみつかれて今ここに残っているのだ。
    『あーあ、綺麗さっぱり消えるつもりだったのになあ』
    「強がりだぁ」
    『な……!』
     ぷくっとほおを膨らますノワールがかわいい。大好きだと思って、ホワイトは目を細めた。
     抱きしめたりできない、触れもしない、ホワイトにしか見えない、ホワイトの一番大切なひと。
    『泣いて喚いていかないでって言うきみが可哀想だったからここにいるだけだよ』
    「あはは」
     ふん、とそっぽを向いたノワールは、ホワイトがその薄青い目の奥で何を思っているか、きっと知らない。同一人物なのに、ね。
     開けた窓から一陣の風が吹き込む。
     ──この世界の全部がノワールをいらないなら、私がもらうね。
     ホワイトはそっと胸に手を当てる。ひとつぶんの心臓の音は、ふたりぶんの命の音だ。
     これを、大切に、大切に抱きしめて、そうして一緒に生きるのだ。
     ノワールが笑えるように。ホワイトと、一緒に笑えるように。
     だって、白は、黒がなければ誰の目にも見えない。前日譚がなければ、本編は始まらない。
     ノワールがいなければ生きていけないのが、ホワイトなのだから。
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    sadachbia7789

    MOURNING岐路で自然消滅かなと思っている富と遠距離になったと思っている人が無駄なきで再会して収まるところに収まる話、にしたかったけど書きたいところだけ書いて満足してしまったやつ。書き始めからこんなんかーい、と思いつつ通常営業。
    富も同じ場面にいるのですが、全然存在感が無い……
    多分「お前は医者になって婿を迎えて跡継ぎを産むんだ」って当たり前のようにレールを強いた父親を外部からぶちのめして欲しくて書いたなコレ
    進パパを説得(やや力業)する人先生父である進太郎がわざとらしいタメ息を大袈裟に吐く。
    「K先生からも言ってやってください。出会いなんぞ無いんじゃからとっとと見合いして身を固めろと」
    「………………………は?」

    岐路で自然消滅かなと思っている富と遠距離になったと思っている人が無駄なきで再会して収まるところに収まる話


    「私はこの先、富永研恵以外の女性を愛することはありません。………お嬢さんを私以外と結婚させると仰るのなら、Kの系譜が一つ消えますね」
    明らかな脅しに進太郎の方が息を飲んだ。神のごとき技術を持つ『スーパードクターK』の伝説は進太郎世代の方がよく知っている。まさかそれが現実にいようとは思わなかったが。ましてや神代は当代のKである。その血筋を絶やすのも絶やさないのも富永に血を繋ぐことを強要してきた進太郎の言葉一つという脅しがのし掛かる。
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