いつか、あとで死ぬ呪い深夜。ミスタがシェアハウスへと帰った時。
ルカはすでに泣いていた。
「!?は、ちょ、何があったんだよ」
足を踏み入れた先のリビングの床が軋む。別にミスタがファットボーイだって訳じゃない。鬼と異世界から来た文豪の怒りで空気が重くなっているのだ。比喩ではなく、本気で。ソファに座りオロオロとするスミレの目は可哀そうなほど赤くなっていて、乱暴に擦ったのか所々が痛々しく腫れていた。
「お、おれは大丈夫だから!ちょっとびっくりして泣いちゃったけど、」
「いや泣いてる時点でだいじょばないでしょ」
「ミスタ!おかえり、じゃなくて二人の事煽んないで!」
こちらに気づいた顔が一瞬安堵し、それからむうっと怒り出す。その元気を見る限り本当にもう大丈夫ではあるのだろうが、何やらヴォックスとアイクにとっちゃまだまだ大丈夫じゃないことが起きたらしい。しかも二人の大事な大事なルカの身に。
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