七月の祝福 七月になると、いつも少しおかしくなってしまう。
降り止まない雨と藍色の紫陽花、うまくまとまらない髪、肌に張りついて不快な服。
それでなくても、夏は死の気配が濃くて苦手だった。子供の頃から新盆の地域に住んでいたので、七月の半ばにはもう死者がやってくる。様々なこの世ならざるものが、自分の前に立ち現れてくる。
そもそも単純に、日本の湿度と暑さが苦手だ。
これは母も祖父もそうらしいので、北欧の血のせいもあるだろう。
そんなわけで、七月はとにかく調子が狂ってしまうので、自分の誕生日もことも意識したことは殆どない。
呪専に入って最初の誕生日も、母親からバースデーカードが届いてやっと思い出す始末だった。
愛らしいケーキ形のカードが、自分の子供時代の写真と一緒に部屋に届いているのを見た途端、言いようのない座りの悪さを感じてしまった。
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