イヌピーくんの口は大きい気がする。
「花垣」
あっ、キスされる。ゆっくりと目を閉じるとイヌピーくんの唇がゆっくりと俺の唇に重なる。最初はチュッと軽く、段々と激しくなる。軽いキスが獣が獲物を捕らえようと必死に食らいつくような激しいキス。空気を求めようと逃れようとすれば逃がさないと言わんばかりにぎゅっと抱き締められる。ようやく解放されたと思えば、今度は隙を付いて舌を入れられる。
イヌピーくんはベロも大きい。
口腔内にイヌピーくんのベロが入ると、歯茎から歯列に掛けて口全体を舐められる。頬袋ものどちんこも口の中にある器官全体を舐められる。
「ンン……んんん……!!」
自分からベロを絡める暇もないほど何度も何度も舐めれる。ようやく解放されたときには俺は身体全体から力が抜けてしまっていて、いつもイヌピーくんに大丈夫かと支えられてしまう。イヌピーくんは半分気絶しかかっている俺の口の端の涎をちゅうううとバキューム級の吸引力で吸いとってしまう。
「んん……!!」
あまりの強さに押さえたくても、声が出てしまう。最後に軽く頬にチュッと口付けされる。
「花垣、好きだ」
ずるい。
そんなこと言われたら、文句も言えなくなるじゃないですか。俺の呼吸が整うまで、待ってくれる優しさも俺が彼を嫌いになれない理由のひとつだ。ようやく、呼吸が落ち着いた俺にイヌピーくんが優しい眼差しを向ける。
「落ち着いたようだな。家まで送るぞ」
「ありがとうございます。でも……」
このまま、イヌピーくんと離れたくない。
言い淀む俺にホテル行くか?と聞いてくるイヌピーくんに俺はこくりと頷いた。