プレゼントフォーユークニヨシの同人誌製本を手伝った時の話
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無心になって手を動かすこと数時間、出来上がった同人誌をすべて段ボール箱に収め、リヒトは大きなため息をついた。壁際、山のように積み上がった箱を見つめ、しばしぼんやりと佇む。依頼された作業はなんとか終えられた。他の部屋も街も眠りにつつまれているのか、外はしんと静まって、車の走り去る音すらも聞こえてこない。
「良かったぁ、おかげさまで明日、じゃないやもう今日だね、とにかくこれでイベントの準備はばっちりだよ! 本当にありがとう!」
何度も何度も感謝の言葉を口にするクニヨシは、その丸い顔をこれ以上ないというくらいにほころばせている。つい先ほどまで猛烈な勢いでペンを走らせたり、ああでもないこうでもないと頭をひねりながら色を置いたりしていたはずが、疲れた様子など微塵も浮かべていない。友人が嬉しいのなら自分も嬉しいと、リヒトは知らず知らずのうちに頬をゆるませた。
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