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    oboro_0x0

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    鏡音廃。
    下書きや進捗、らくがき、ワンク系の創作などです!
    スクショ多めと思いますがすみません🙏
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    3年前に考えた学パロレンリンのお話。
    色々と設定はある上で本編から1年後とかの話になります。(本編は放置中…設定修正したのでまた作り直します)
    ちょっとした番外みたいな感じです。…なので話の流れが急だったり読めないかと思われますが……一応。←?
    タイトルは「かたち結び」です。

     ──ザーーー……。
    降りしきる雨。しんと静まり返った校舎には、誰も居ない───わたしとレン以外は。

    わたしたちは高校二年の夏休みに突入していた。

    「──雨、止まないね」
    「…だな」
    下駄箱が幾つも並んだ玄関で、曇る景色を肩を並べてぼーっと眺める。
    ……天気予報を見た感じも、しばらくは止まないらしい。
    生憎、急な雨で傘も持ち合わせていなかったので、二人こうしている訳で。
    今だけは、学校ここはわたしたちの“お城”みたい───。
    そんなことを考えていると、不意に痺れを切らしたようにレンが立ち上がって言う。
    「───な、ここでずっとこうしてるのもつまんないし、色々探索しない?」
    「いいね、楽しそう、それ。」
    勿論YESだ。だってつまんないもん。
    「……じゃ行こうぜ、ほら」
    うん、と伸ばされた手を取って立ち上がる。それと同時に腕が引かれる。
    「ちょっと!」
    「あはは、どこから行く?」
    珍しく無邪気な笑みを見せたレンに、少しドキッとした。

     ───一年生の教室。
    「わぁー、変わんないね、ここの窓からの景色。」
    「懐かしいな」
    入学したばかりの頃を思い出す。…あと、わたしたちが初めて話した日のこと。
    「……今でも覚えてるよ、リンに初めて話し掛けられた時のこと。ほんとは俺すっごい緊張してた。それなのに、話の内容ときたらとんでもなかったんだもんな」
    そう机をなぞりながらレンが言う。
    「……だって仕方ないじゃない?」
    ───仕方ないもあるもんか。
    自嘲しながら言う。あまりに衝動的過ぎたのだから。おかげで、今があるけど。
    「……トップ3の美女さんが、まさかこんなに変態だったなんて。」
    淡々と言われると恥ずかしくなる。
    「……それを言うなら、君だってそうでしょ?爽やかイケメン…なんて言われてたのに、今は───」
    「それはリンが悪い」
    「……。」
    リンが無理な約束付けるから…と口を尖らせながら言う。
    今でこそ正式に付き合っているけど、当時は確かに無理な約束を取り付けた関係だった。実際、巻き込まれたのはレンの方で。
    「……やっぱこの話はナシ。やめましょ」
    「なんで?」
    「…………恥ずかしいから」
    正直だね、とレンが吹き出しながら言う。
    「──さて、次はどこ行く?」
    「実験室とか、どう?」
    「いいね。行こう」
    カラカラと扉を開け、教室を後にした。

     雨は一層酷くなり、雷が遠くで鳴っていた。
    薄暗い廊下を、レンの後を追うように歩く。
    ……心做しか、去年見た背中よりも大きくなった気がする。
    職員室から鍵を取り、実験室のある二階へと向かう。
    「……なんか楽しいね、ほんとに誰も居ない」
    「一回やってみたかったんだよなー」
    なんて言いながら歩く。
    その間も色々なことを思い出していた。
    そこの資料室で鉢合わせた日。
    空き教室で初めて授業をサボったあの日。
    ……理由が不純だったりするけど、すっかり真面目でいるのは疲れることに気づき始めていた。それもレンのおかげなのだから、ありがたいものである。
    「───ねぇ、レン。わたしね…────」
    珍しく自分の心境を伝えようと口を開いたときだった。
    コツ、コツと階段を登ってくる足音。
    すぐさま静かに鍵を開け、実験室へ避難する。
    扉のすぐ横の死角で二人息を潜めて様子を窺う。
    密着した身体からレンの鼓動が聞こえてくる。
    ───なんだか、悪いことしてるみたい。
    別に悪いことをしている訳ではないはずなのに、わたしもレンも咄嗟に隠れてしまった。
    しばらくして、足音は遠ざかっていった。
    「…………ふぅ───」
    とレンが息を吐いたその時、口を塞いだ。
    「…!」
    「ん……」
    少し強張ったのも束の間、受け入れられて背中に回された手に力が籠る。
    雨の音と同じくらい、心臓の鼓動が大きく感じる。
    薄ら目を開けると、同じく目を開けたレンと一瞬目が合った。
    「……ん」
    「……」
    二人の体は段々と壁を滑り、床に座り込んだ。
    バルコニーの手すりに雨が当たる音。
    水槽のポンプが動いている音。
    何度か呼吸を交わらせ、やっと離れたときにレンが呟いた。
    「───……やっぱり、どこに行ってもこうなっちゃうね」
    「………したい?」
    「……うん」
    「……じゃあ、保健室…行こっか」
    ───結局、校内探検は中止で、わたしたちは保健室で語り合うことになった。
    もう何度か仮病でこうやってベッドを使ってしまったけど、思春期真っ只中のわたしたちには仕方のない事なんだと思う。
    「……今日は声我慢しないで済むね」
    「……もう、ばか」
    レンは私の首筋に手を掛けながらカーテンを閉めた。


    気づけば雲の隙間から光が差し込んでいた。


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