大路の強さの話少しだけ雨が降る中、二人の屋敷は半壊していた
怨霊が屋敷に攻め来てきたからだった
-ォォォォ。
悠「まさか、この屋敷に襲撃してくるなんて…」
隣で少しだけ怪我した少年が呟く
……しまった。怪我を負わせてしまった
大路「…悠さん、大丈夫っスか?」
悠「ッ、一応ね…大路さんは?」
何故、俺の心配をしてくれるんだろうか
怪我しているのはそっちなのに
大路「俺の心配は無用っス、自分の心配をしてください」
悠「そんな事言わないでよ…」
-ォォォォッ
怨霊が多く集まってきてしまった
…イヅナらも此処に来れれば良かったが、それは叶わないか
大路「…イヅナやぬりかべも、此処には来れないんっスよね?」
悠「うん、この屋敷全体に妖怪だけが入れない結界みたいなのが張られてるんだって…邪魅が言ってた」
大路「誰っスか、そんなん張ったの」
悠「さぁ?……ッ」
!
長々と話してる場合じゃない。
悠さんは怪我してるし、怨霊も続々と集まってきている
…仕方ないか
大路「悠さん」
悠「?」
大路「そこから一歩も動かないで下さいよ」
悠「え…大路さん?」
ここからは集中しないと駄目だ
下手したら悠さんまで巻き込む可能性があるから
…………。
悠「大路さ…ッ」
大路「………。」
ザッッ
一歩下がって、一体目の怨霊に向かって走り出す
ダンッッッ
悠「待っ……速っ」
大体、屋敷の敷地内に居る怨霊はざっと見て50辺りか
敷地外のは30…まぁ、いけるか。
大路「………。」
-ォォォォォォォォッ
怨霊一体一体の前に行き、軽くパンチする。
すると、怨霊の身体が爆ぜた
大路「ふッ……!」
軽くパンチする行動をあと80回くらい繰り返せば終わる
なんて簡単だろうか。
悠「いやッ…可笑しいでしょ!?どうして、一発で怨霊が消えるの!?」
大路「え?何っスか?」
悠「聞こえてるの!?」
-ォォォォッ
大路「!」
繰り返し怨霊を倒し続けていると
一匹、普通の軽いパンチで倒れないのが居た
…勢いで行けば倒れると思っていたが流石に甘くは無いか。
パンチで倒せなかったからか、俺は体勢を崩しかける
-ォォォォォォォォッ
怨霊も体勢を崩した俺を狙って襲いかかって来る
何だ、得体の知れない存在なのに脳みそが付いてんのか
悠「大路さんッ」
大路「……よッ」
悠さんの心配する声が聞こえたが
そう簡単にはやられない
地面に手を付き、怨霊に回し蹴りをする
すると怨霊は首辺りが無くなった
大路「……(まだ居るのか…)」
悠「……もう、何でもアリだよ。あの人」
遠くの方で悠さんの、呆れの声が聞こえてくる気がする
普通に元気そうなので、安心した
大路「……(あと、40くらい……か?)」
特に増える気配も無さそうだから、直ぐに終わりそうだ
早く悠さんの怪我の具合も見ないと…
大路「さっさと、俺に倒されて下さいよ」
また走り出す
先程の殴る蹴るを繰り返す
……だが、やはり最後は…
ザリッ
大路「…………まぁ、そう…っスよね。」
強化型の大型怨霊が待ち構えている
最後の切り札って奴だ
-ガァァァァッ
悠「だ、いちさんッ…!」
大路「は。何でついてきたんっスか!」
悠「それは、心配だからっ…!」
心配。
だから、俺の心配より自分の心配をしろと!
大路「俺の心配より、自分の心配を…!」
…だろうとは、思った。
大型怨霊が悠さんの方に攻撃を仕掛ける
もう、これ以上彼に怪我を負わす訳にはいかない
悠「ッ……!」
ーガァァァァッ
大路「……しッ!」
ゴッッ
今まで倒してきた怨霊よりも強い力で強化型の怨霊に風穴を空ける。それは灰になって消えていった
…何だ?他のより弱いか
-ガ、ァァァ……ァァァッ…
悠「………。」
大路「…大丈夫っスか?」
悠「…大、路さん」
大路「何か?」
悠「……何で、一発で大穴開けるの?」
?
どういう事だ?
普通に殴ったり蹴っているだけなのだが
大路「いや…普通に…」
悠「しかも真顔で」
大路「…………。」
悠「…でも、良かった。大路さんに怪我とかなくて」
……。
何故、そんなに俺の事を心配してくれるんだろうか
他の人より丈夫で幼い頃から怪我した事無いのに
大路「……俺に心配は要らないっスよ」
怨霊を全て倒したから、結界も破れて妖怪たちも続々と集まってきている
…まず、悠さんの怪我を見てもらわなければ
-終わり?-