社会科準備室の帝王学「君、一年の竈門かな?」
昇降口に向かう廊下の途中で呼び止められた。
「はい」
呼び掛けに咄嗟に応えて振り向く。
先生だ。
この先生、地歴公民の先生で確か、
「煉獄…?先生」
「うむ!」
とても溌剌とした応答が返って来た。
なぜ、呼び止められたのだろう?この先生の授業は未だ受けていない。確か三学期からの筈だ。
何かの御用かと尋ねようと口を開き掛けた時、
「竈門少年。時間に問題無ければだが、少し社会科準備室に寄って行かないか?」
思い掛けない言葉が返ってきた。
放課後になったばかりで、未だ少し時間に余裕はあった。
(先生に呼ばれているのなら…行った方が良いだろうか…)
自宅で経営しているパン屋の店番が気になったが、授業で未だ関っていない先生から声を掛けられたのだ。何かやらかしていたのかも知れない。最近のお客さんの流れを思い返して、
3076