第六話第六話
楽しい時間はあっという間に過ぎていく。かくれんぼをして少し疲れた真斗はレンの膝の上で眠っていた。
「その子どうしたの?」
「アイミー。迷い込んじゃってね。扉が開くまでここで遊んでたのさ」
「そうなの?」
レンの膝の上で静かに寝息を立てる真斗の顔をかがみこんでのぞき込む。
「レン」
「なんだい?」
しばらく真斗を見ていた藍が立ち上がり、声をかけてくる。
「そろそろ扉が開くよ」
それはつまりお別れの時間。分かっていたことだった。たったひとときの時間ではあったが真斗の存在はレンの心に爪痕を残す。
「まさと、まさと起きて」
「うーん、レンおにいちゃん?」
何度か真斗の体を優しくゆする。真斗は大きな瞳をこすりながら起きてくる。
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