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    case669

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    傍に居ろと素直に言え
    エスアイ

    ##エスアイ

    「お前、結婚したい相手とか居ないのか?」
    今まさに欲を吐きだしたばかりの、息も整わぬままに向かい合った姿勢で問われてさすがのエスティニアンも閉口した。人の事をとやかく言えるような身でも無いが、もう少しタイミングを考えられなかったのかと思う。
    「……何だ、藪から棒に」
    だがそれを責めた所で伝わらないのは重々身に染みている。というよりも、わかっていてやっている相手に何を言った所で無駄だ。
    「いやなに、我々も良い歳だから、好いた相手がいるならばそろそろ身を固めるのもどうかと思ったのだよ」
    「本音は?」
    驚いた、と言わんばかりに目の前でアイメリクの目が見開かれ、それから眉尻を下げて笑う。一応そうして恥じらって見せるのは素なのかそれとも礼儀だとでも思ってるのか判断に迷う所だ。
    「お前を皇都に留めるにはどうしたら良いかと思ってな」
    「なんだ、寂しいのか」
    「寂しいというよりも心許ないというのが正しいな」
    「熱狂的な信者ともいえる部下やら四大名家の元当主やら、最近では平民の信仰まで集めておいて?」
    「だって彼らは私を殺せないだろう」
    またわけのわからないことを言い始めた、というのがエスティニアンの素直な感想だ。ごろりと横に寝転がればひたりと隣にひっついてくる身体はまだ熱の残滓を纏っている。
    「私を信じてくれる人が多いのはありがたい事だ。だが味方でありながら私を止められる人間が余りにも少ない」
    「フォルタンの御隠居は?」
    「……私が今の地位を利用し本気でエドモンド卿を討とうとすれば容易いと思わないか?」
    確かにこれだけ竜詩戦争終結の立役者となり、今もなお民の筆頭に立って新たなイシュガルドを築きあげようとしているアイメリクが突然エドモンド卿を討つなぞ誰も思わないだろう。だが。
    そこまで考えて気付き、思わずじっとりとした視線でアイメリクを見てしまう。睨むにも近い目付きで見られたアイメリクと言えば、嬉しそうに笑っていた。これだからこの男は。
    「……自分が、信用ならんのか」
    「ふふ、わかってくれるかエスティニアン。信念はあるつもりなんだがね」
    「お前が道を誤れば国が迷うんだぞ、甘えるな」
    「わかっているさ。だが万が一の保険はあるに越した事は無いだろう」
    「もしもの場合はお前を殺さなきゃいけないから皇都に留まれって?」
    「お前が居れば、そんな事は起きないさ」
    これはこの男なりの甘えなのだろう。アイメリクならば絶対に道を違える事は無い、とエスティニアンも言い切ってやれないのが悲しい。
    「……気が向いたらな」
    すっぱりと断れたら余計な事に頭を悩ませなくて済むというのに、こうして甘やかしてしまうからアイメリクに良いように使われるのだとわかっている。わかっていても、今更この腐れ縁を見捨てる事も出来なかった。
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    aruteamoon

    DONEキスの日。カリジャミでウブいやつ。
    多分付き合ってないし、夜伽もしてない時空の健全な幼なじみカリジャミ。無事にタイトルつきました(笑)
    口付けに愛は伝う




    その日もいつも通りの晴天で、とくにこれといって風が強そうだという訳でもなく、休日の朝から早めに洗濯物を干そうかと考えながらキッチンに向かう廊下を歩いている時だった。
    後ろから呼び止められる聞き慣れた声に平穏な朝は終わりを告げる。いつもなら起こしに行くまで寝ているくせに、何故休日に限ってこの男は早起きしてくるのか。
    その理由は腕を引きながら連れて行かれた寮長室で、開口一番知らされる。


    「なぁジャミル、今日は何の日か知ってるか?」
    着崩れていた寮長服を整えてやっていると構わずカリムが話しかけてくる。
    無意識に手を動かしながら頭の中で知りうる限りの記念日を検索したが思い当たらず首を捻っていると、カリムが今度はスマホを取り出した。
    「なんだ?なにか大事な事でもあったか?俺が忘れる筈は無いと思うんだが」
    「ああ、オレもジャミルもこう言うのあんまり知らないもんな!オレもこないだケイトに聞いて知ったんだけど…」
    カリムは取り出したスマホをカメラモードに切り替えると、自撮りをするのか並んで此方に画面を向けた。
    「なんだ?撮るなよ」
    「実はケイトに頼まれてる写真があってさー 5320