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    Emitany54

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    Emitany54

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    ゲームやっててエメと自機との関係性がしっくり来なかったので、しっくりさせる為にとりあえず出会い編を書いてみました。古代人小話。

    ※暁月のネタバレがあるよ!
    ※アゼム設定の捏造があるよ!
    ※該当の人物やモンスター名が今後出てきたらこの設定は即座に爆発するよ!

    夢を織る花花咲き乱れる園、エルピス。ここは実験生物の為の理想的な気候が常に用意されている。今日もまたどこまでも高い空に白い花弁が風に舞い、実験場の浮島に落ちる光と影が美しい景色を織り成していた。
    エメトセルクはここで新しくアゼムの座に就く予定の青年を探していた。その青年とは長らく連絡がつかず、業を煮やしたエメトセルクは、ヴェーネスに似た色を持つエーテルの残滓を辿ってここまでやって来たのだった。
    「なぜエルピスに?」
    エメトセルクは眉を顰めた。創造生物の実験場であるこの場所に、アゼム候補が赴いた理由が分からない。彼が創造生物の研究に携わる理由も略歴書からは窺い知れなかった。しかし、アゼムの座に就く奴、またはアゼム候補はいつだって奇人変人ばかり。気まぐれでここに潜り込もうとするような輩でもおかしくはないだろう。エメトセルクはさらに眉間に皺を寄せて軽い溜息をついた。広大なエルピスの中をエーテル視で確実に標的の元へと辿りながら、エメトセルクはその冷静な瞳で周囲を観察していた。
    「ここか…。」
    エメトセルクは小声で呟き、エーテルの残滓が続く先を見つめた。見通しの良いエルピスの中で唯一、木々が生い茂る小さな森。エメトセルクはますます渋い顔をする。ここは限定的に立ち入り禁止区域に指定されている森であり、現在は獰猛な肉食の創造生物を実験的に放っている場所だった。
    「クソ…面倒なことにならなければいいが…。」
    エメトセルクはそう独り言ちながらも森の奥へと足を進めた。観察員の巡回で先にアゼム候補が発見されていることを願いながら。

    鬱蒼とした森の中、エメトセルクは耳を澄ました。増幅された聴覚で鳥のさえずりと共に、かすかなヒトの呼吸音が聞こえてきた。標的は近い。エーテル視に頼らず音の方へ進むと、大きな木の根元で眠る青年の姿があった。エメトセルクが探していたアゼム候補の青年は、長身の体を投げ出し、木の根を枕にして眠っていた。くすんだ白い髪に、色白の肌。面長で少しくたびれた顔立ち、整えられた薄い髭。略歴書に描かれていた人相描きと相違ない。
    「ここにいたか…。それにしても、なんて無防備な…。」
    エメトセルクは呆れた表情で彼の元へと近づいた。しかし、草の根を踏みしめる音が自分一人分ではないことに気づき、立ち止まった。エメトセルクは思わず歯噛みする。最後までエーテル視を続けるべきだった。ステルス能力で身を隠していた肉食獣の群れが、すでに青年の周囲を取り囲んでいた。エメトセルクの存在に気づいた数匹の肉食獣が、迷彩を解き、彼に向かって唸り声をあげる。黒と白の毛並みを持つ小型の狼のような姿。口元には鋭い牙が光り、涎が滴っていた。

    一匹が青年の体の上に前足を掛けた。しかし、彼はまだ眠り続けている。唸り声をあげる肉食獣に囲まれたまま。

    「馬鹿者っ!!起きんか!!」エメトセルクは思わず声を荒げた。

    その声に、大半の肉食獣が視線と敵意をこちらに向けた。威嚇の吠え声が響き、数匹がエメトセルクに向かって駆け出した。その後ろで、青年がうっすらと目を開ける。しかし、彼は動かず、まだ夢の中にいるかのようにぼんやりと眺めている。迫りくる獣の鋭い牙を。
    エメトセルクは舌打ちし、素早く手のひらをかざすと、黒雷を迸らせた。光速で空気を裂き、森を突き抜ける雷撃。エメトセルクの手から放たれた雷に、肉食獣たちは散り散りに弾き飛ばされ、敗北の鳴き声をあげながら森の奥へと逃げ去っていった。

    「…あぁ…危なかった…。」

    ようやく事態を理解した青年は、逃げ去る魔法生物を見送りながら、どこか他人事のように眠たげな声で呟いた。エメトセルクはじっとりとその青年を見下ろし、睨みつけた。
    「あぁ、そうとも。危なかったぞ。凶暴な実験生物が放たれた禁域で眠りこけていたお前は、生きたまま喰われるところだった。…命の恩人に何か言うことは?」
    エメトセルクは苛立ちを隠さずに言った。
    青年は目を見開き、怖気付いた表情を浮かべる。
    「えぇと……ごめんなさい。そしてありがとう…。」
    ゆっくりと身を起こし、ローブに付いた葉っぱや土埃を手で払うと、青年は改めてエメトセルクを正面から見据えた。

    「僕はヒュプノス。眠りの効能について研究している者だよ。君は…十四人委員会の第三の座、エメトセルクだよね…?」

    不安そうな表情を浮かべるヒュプノスに、エメトセルクはそっけない態度で答えた。
    「そうだ。新たに太陽の座に就く予定のお前を監査しに来た。見事に減点だな、ヒュプノス。」
    「あぁ…その件は…お断りしたはずなんだけどなぁ…。」
    ヒュプノスは無念そうに首を振った。エメトセルクの脳裏には、ヴェーネスに手を握り締められ、しどろもどろになるこの青年の姿が浮かんでいた。
    「ともかく…ここを出るぞ。経緯やお前の言い分は歩きながら聞く。」
    ヒュプノスのあまりに頼りなく弱々しい有り様に、エメトセルクは気勢が削がれたのを感じながら彼を森の出口へ向かうよう促した。

    エメトセルクとヒュプノスは森の中を歩きながら、面談代わりの会話をいくつか交わした。ヒュプノスがエルピスに来た理由は、眠りを誘う魔法生物のイデア開発の為。イデアのインスピレーションを受けようと昼寝をする目的で森の中に入った事。立ち入り禁止を知らせる掲示板は読んでいたが、この森が該当区域だとは思わなかった事…。どうやら地理に疎いらしい。こういう信じられないうっかり者の為に、該当区域には結界を張る事を造物院に提言すべきかと、エメトセルクは眉根を指で抑えた。森を抜け、陽の光を眩しそうに手で遮ったヒュプノスがまたぽつりと呟く。

    「ご覧の通り…太陽の座は僕には向いてないよ。結果として色んな人のお願いを聞いているけれど…僕自ら人助けをしに動いているわけじゃないんだ。」
    「俺も、お前にその座は相応しくないように見える。今のところはな…。だが、お前を推薦する声は現アゼムのヴェーネスを始め、世界各地から聞こえている。今回はその声が本当かどうかを確認する事前監査だ…。」

    「残念だが、十四人委員会で一度決まった監査からはそう簡単に逃れられない。暫くお前の行動を見させてもらうから諦めて…」

    不意に、ヒュプノスがエメトセルクの顔をじっと見つめる。その視線に気づいたエメトセルクは怪訝そうに眉を顰めた。八の字に歪めた眉の下の深緑の瞳が、エメトセルクの目元を凝視している。

    「何だ…何か文句でもあるのか。」
    「目の下に、酷い隈が…。君、ちゃんと寝てる…?」
    「おい…話を逸らすな。」
    「そうじゃないんだけど…心配で…。」

    ヒュプノスはローブのポケットを探り、小さな小瓶をエメトセルクに差し出した。中には寒色系と紫系の花弁が色とりどりに積み重なり、小さな種子や精油とともに詰められている。
    「これは睡眠を誘う香りが詰まったポプリ…僕の手作りだよ。寝不足そうな君に、一つプレゼントするよ。良い眠りは環境から…。嗅覚も、質の良い眠りに大きな影響を与えるんだ。」
    小瓶を見つめて黙って聞いているだけのエメトセルクに、ヒュプノスはポプリの小瓶をさらに前に差し出した。小瓶から香るほのかな花の香りがエメトセルクの嗅覚をくすぐる。観念したかのようにエメトセルクは両手を挙げた。呆れた表情をしつつも目の前の小瓶を受け取る。

    「まったく…余計なお世話だ。分かった、それでお前の気が済むなら受け取ってやろう…。だが、この賄賂は点数には入れないからな。」
    「賄賂なんて。そんなつもりじゃ…。」
    困ったような笑みを浮かべて、ヒュプノスは言葉を続けた。

    「僕たちは数日寝なくても生きていけるかもしれないけど…健やかな体と心のために眠ることは大事だよ。それを枕元に置いて…今夜はよく眠ってね。」

    屈託のない、穏やかな笑顔。善意100%。成る程、評判通りのお人好しである事は間違いない。エメトセルクはすっかり拍子抜けして手の中のポプリの小瓶を見つめた。

    (まぁ、次代のアゼム候補にしては大人しそうで助かったというべきか…。)

    そよ風に目を細め、心地良さそうな笑みを浮かべているヒュプノスに視線を移して、エメトセルクはそう前向きに考え直した。監査は想定よりスムーズに終わるだろうと考え始めてさえいた。この青年が、次々に手に負えない事態に巻き込まれ、事あるごとにピンチに陥る「稀代の巻き込まれ体質」であることに気付くまでは。
    そんな波乱の到来を勘付かせないように。エルピスの風は優しく二人の間を通り抜けていくのだった。
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    Emitany54

    DONEゲームやっててエメと自機との関係性がしっくり来なかったので、しっくりさせる為にとりあえず出会い編を書いてみました。古代人小話。

    ※暁月のネタバレがあるよ!
    ※アゼム設定の捏造があるよ!
    ※該当の人物やモンスター名が今後出てきたらこの設定は即座に爆発するよ!
    夢を織る花花咲き乱れる園、エルピス。ここは実験生物の為の理想的な気候が常に用意されている。今日もまたどこまでも高い空に白い花弁が風に舞い、実験場の浮島に落ちる光と影が美しい景色を織り成していた。
    エメトセルクはここで新しくアゼムの座に就く予定の青年を探していた。その青年とは長らく連絡がつかず、業を煮やしたエメトセルクは、ヴェーネスに似た色を持つエーテルの残滓を辿ってここまでやって来たのだった。
    「なぜエルピスに?」
    エメトセルクは眉を顰めた。創造生物の実験場であるこの場所に、アゼム候補が赴いた理由が分からない。彼が創造生物の研究に携わる理由も略歴書からは窺い知れなかった。しかし、アゼムの座に就く奴、またはアゼム候補はいつだって奇人変人ばかり。気まぐれでここに潜り込もうとするような輩でもおかしくはないだろう。エメトセルクはさらに眉間に皺を寄せて軽い溜息をついた。広大なエルピスの中をエーテル視で確実に標的の元へと辿りながら、エメトセルクはその冷静な瞳で周囲を観察していた。
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