毒を食らわば皿まで2■エミ/中二の初夏
初夏のことだった。
過ごしやすい晴れ間が続いたかと思えば、冷たい雨がざあっと降り先日の暖かさはどこへやら。じっとりとした湿気に校舎の中も満たされている。そんな中、灰色の床を学校指定のスリッパで、ぺちゃん、ぺたんとゆっくり音を立てながら歩く少女が1人。
授業のチャイムは鳴り終わっており、廊下には誰も居ない。彼女は背筋を伸ばして、道の真ん中を突き進んでいた。まるでレッドカーペットの敷かれた道を、堂々とした態度で歩く女王のような顔だった。彼女の顔は血の気が引いて真っ白だったが、それさえも美貌をより鋭くさせる。
彼女は教室の後ろ扉を、躊躇なく大きな音を立てて開ける。ガラララ、と鳴った音に教室中の視線が一斉に集まった。
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