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    すすき

    ミスブラ(ブ受)

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    すすき

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    【ミスブラ/魔法舎】賢者視点
    依頼の話とかしてたはずなのに急にミスブラをぶっ込まれる賢者くんちゃんの話。
    このミスブラはたぶんセッ…済み✌️

    手元に影が差して、賢者はようやく顔を上げた。気配が近付いてきているのに全く気が付かなかった。慌てて振り向くと眠たげな緑の瞳がこちらを見下ろしている。もしかしてもう食事の時間だろうかと時計を確認して、さっき見た時から少し動いただけの長針にほっとする。探させてしまったというわけではなかったらしい。談話室の大きな窓の外では太陽が輝いていた。
    「どうかしましたか、ミスラ」
    「眠り姫ってなんですか」
    「ああ」
    なるほど、ミスラがわざわざ顔を出した理由に合点がいった。さっきの独り言を聞かれていたんだろう。眠りに関係することなら何でも試してみている彼にとっては無視できない内容だったに違いない。
    ほんの少しの気恥ずかしさを咳払いで追いやって、ミスラの方に向き直る。手元の依頼書を軽く持ち上げた。
    「この依頼、糸車がいつの間にか消えてしまうってものなんですが」
    「そこはどうでもいいです。眠れるんですか?」
    「眠れは……しないかもしれません。眠り姫っていうのは、あっちの世界のおとぎ話なので」
    賢者もそこまで詳細に覚えているわけではなかったが、確か糸車に指を指されると眠りに落ちてしまうお姫様を守るために国中の糸車を処分するような描写があったはずだ。今回の依頼に似ているなと、思わず声に出してしまった。それをミスラが聞きつけたのだろう。
    「へえ。つまり、糸車を探せばいいんですね」
    話を聞いたミスラが空間の扉を開こうとするのを慌てて止める。確かに依頼として考えると間違ってはいないのだが、依頼先は東の国のとある村だ。ミスラ一人にお願いしてしまうのは少しだけ不安だった。咄嗟に腕にしがみついて頭を回した。
    「えっと、ミスラ! このお姫様、最後には王子様にキスされて目が覚めてしまうんです! だから……」
    「だったら、別に大丈夫ですよ」
    ミスラの気が削がれるかもと言った台詞は、彼にとっては大した問題ではなかったらしい。逆に何かの確信を深めたように緑の瞳が満足そうに細くなる。
    「ブラッドリーは、キスしても起きなかったので」
    「えっ?」
    思わず聞き返そうとしたその時、すぐ傍に唐突に人影が現れて言葉が引っ込んだ。見慣れた傷のある顔は、今まさに話題に出てきたその人だ。またくしゃみで飛ばされてしまったんだろう。
    「お? ここか」
    ぐるりと辺りを見回して現在地を把握したロゼの瞳が、ミスラと賢者を交互に見遣って怪訝そうな顔をする。
    「何してんだ、てめえら」
    「糸車を奪いに行きます。あなたはキスしても起きなかったので」
    「……は?」
    ミスラにとっての不要な情報を全て削ぎ落したような台詞に盛大に顔を顰めたブラッドリーが、こちらを振り向いた。慌てて事情を説明する。最後に、糸車が有効だという根拠がブラッドリーらしいと口にするのはちょっと勇気が要った。めちゃくちゃ派手な、お手本みたいな舌打ちが聞こえた。
    「おいミスラ。ちょっと面貸せ」
    「嫌ですけど」
    「いいから来いっつってんだよ。てめえが話も聞けないような馬鹿なら構わねえが」
    「……いいですよ。俺は馬鹿ではないので」
    背を向けたブラッドリーの後をミスラが追う。思わず声をかけそうになったが、問題ねえからついてくるなと釘を刺されてしまって頷くしかない。ブラッドリーが一度もミスラの言葉を否定していなかったことに気づいてしまったから。
    賢者にできるのは、どうか魔法舎が半壊しませんようにと祈ることだけだった。
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    すすき

    DOODLE【ミスブラ+オエ/魔法舎】賢者視点
    ミスブラ職人オーエンの話
    ……にしたかったんだけど、これであってるか分かんなくなってきたやつ。
    ここまで長くなるとは思わなかった
    窓の外には厄災が輝いている。美しい夜空をぼんやり眺め、はっと我に返って賢者は慌てて足を踏み出した。もうずいぶん遅い時間だ。
    賢者の書を書き進めることに集中していたせいか、それとも昼間の依頼での魔法使いたちの活躍を思い出していたせいか。すっかり夜も更けた今になっても眠気はやってきていなかった。まだまだ起きていられそうだが、これ以上は明日に差し支えそうだ。キッチンでホットミルクでも飲んで寝てしまおうと部屋を抜け出したところだった。
    しんと静まり返った廊下に賢者の足音だけが響く。同じフロアの魔法使いたちは早寝が得意な方だ。起こさないように足音を殺して階段を下りた。キッチンを目指す。
    「……あれ?」
    こんな時間までキッチンに明かりがともっているのは珍しいことじゃないが、その明かりが届かない廊下の片隅に立つ後ろ姿はあまり見たことがなかった。いつもなら、キッチンで甘いものを強請っているか、探しているかしているのに。もしかしたら厄災の傷だろうかとそっと背後に歩み寄った。
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