通るべからず陽の届かないこの町では昼夜というものはあまり感じられない。そのためかこういった通り、所謂風俗街と呼ばれるようなところは何時だって人がいた。こんな町では大人の娯楽といえばこれくらいなのだろう。
金銭感覚の狂いやすいこの場所を、サンポはよく狩場にしていた。
鼻歌を歌いながら路地を抜け、横目で人々を観察しながら歩く。客寄せをする嬢、怒鳴りつける男、金が支払えなかったのか暴力を振るわれている鉱夫。混沌としたこの街の雰囲気は嫌いでは無い、勿論自身に火の粉が振りかからなければ。
そんなことを考えながら歩みを進めていればくん、っと服を引かれる。
「やっぱりサンポだった。」
「……おや!これはこれは、奇遇ですねえこんなところで!」
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