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    @toukaducer

    保管用に使用しているので投稿した後も結構触ります
    最近は使っていないかべうち→ http://kabe.work/toukaducer

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    書記とマーダーミステリー、なんか趣味と頭が悪くて筆が止まってる短編?です
    かぐ告とミステリって相性いいと思うので読みた〜い!!下さい!!

    藤原千花は殺させたい「あら、会長」
    「おう、四宮」
     
     もう既に放課後ではあるが、おはようございます、おはようと声を掛け合う。秀知院学園高等部生徒会長、2年B組白銀御行と副会長、2年A組四宮かぐや。「今日のHRは長かったですね」「そうだな」などといった他愛のない話をしながら向かう先はただ一つ、秀知院学園高等部生徒会室だ。そこでは超高校級の駆け引きこと恋愛頭脳戦が密かに行われている。

    「ちょっと石上、こっちに寄らないでくれる?」
    「は? 別にそこまで寄って無いだろ思春期風紀委員」
    「はあ〜!?」
     
     そこへぎゃいぎゃいと言い争いながら向かってくる二つの人影。会計、1年石上優と会計監査、1年伊井野ミコ。
     
    「またお前ら喧嘩してんのか」
    「違いますよ会長! こいつが勝手に突っかかってくるんですって! 僕は相手をしているだけで」
    「アンタが私に注意させるような事ばっかりするからでしょ! 大体石上は普段の行動が……! 今日だって石上のせいで授業終わるのが遅れて……!」
    「まあまあ……」
    「何したんだ石上……」
     
     廊下の行き止まりに辿り着いた四人は生徒会室に入っていく。こうしてこの四人でまとまってこの扉を開くのは珍しいことだった。
     何故なら、いつもなら中心には──

    「あら?」

     初めに声を上げたのは四宮かぐやだった。

    「ん」
    「アレって」
    「え?」
     
     続いて三人が短い声をあげた。
     四人は扉付近に立ち止まって恐る恐る確認する。何故なら、数メートル先の会長机の隣に、二本の足が横たわっていたからだ。ソファーの陰になってよく見えないが確認出来るのは上履き、白いハイソックス。偶然にも、四人全員に見覚えがあるはずのものだった。ゆっくり近づくと、ようやくその足と並んで白いプリントが一枚落ちていることに気がついたが、そんなものよりも気になるのは足だ。
     やはり、そこに居たのは秀知院学園生徒会書記、2年B組藤原千花以外の誰でもなかった。

     その藤原千花が、口と胸元から赤い液体を吐いて倒れている。胸には一丁の包丁が突き刺さっていた。
     
     きゃっ……と悲鳴をあげ、真っ青になる伊井野。全身が震えている。そんな中、四宮は冷静にも藤原に駆け寄り脈を確かめていた。そして、首を振った。
     
    「駄目です。脈がありません」
    「は……!?」
    「藤原先輩……? 嘘でしょ?」
    「………はっ、そう、だ救急車、呼びま……っ」

     どよめく一同。
     パニックになり震えながらも119番通報をしようとする伊井野。
     そこへ、
     
    「ちょ、ちょっと待ってミコちゃん!!!」

     慌てふためきながら死体が起き上がった。


     
    「つまりですね、これは死んだフリであって本当に殺された訳じゃないですから……ふぇ〜!! ごべゴち゛」
    「ぐす……あ、あの……藤原先輩が生きていてくれて……っ、良かったです……っ」

     藤原千花は死んではいない。ただ口と胸元から「血糊」を吐き出し「玩具の包丁」が胸に突き刺さっているだけであった。かつて「かぐやさんに殺されちゃいましたー!」と亡きものにされた演劇の件を彷彿とさせた。

    「で、藤原。どうしてこんな事をしたんだ?」
     その言葉に、一同がピンク髪のリボン娘に視線を集中させる。

    「あ〜そのですね、ちょっとしたゲームをしようと思いまして……」
    「ゲーム?」
    「はい、名付けて『藤原千花を殺した犯人は誰だゲーム』です!」
    「はい?」

    「本当は私が倒れたままゲーム開始〜ってするつもりだったんですけど、こんな雰因気になっちゃったので私が直々に説明します!」

     藤原の説明よれば「藤原千花を殺した犯人は誰だゲーム」とは、その名の通り藤原千花を殺害した犯人を探すゲームだ、という。当然、説明になっていないと批判が出た。遊んでないで早く仕事に戻りましょうと言われても藤原は駄々を捏ねた。

    「まったく、犯人さんは私の擁護もしてくれないんですね!」

     そう言うと、例の足元に落ちていた紙を拾い上げ、天井に向かって投げた。そして、先程の場所に倒れて込んで目を瞑る。

    「犯人さんが見つかるまで私はぜーったいに起きませんからね! ぜーったいですよ! 見つかったら起こしてください!」

     その紙の裏側には【犯人は秀知院学園生徒会役員の中にいます!】と書いてあった。


    「つまり、どういう事なのでしょう。誰かが藤原さんを殺すような事をしたというのですか?」
    「うーん、藤原先輩を殺したいと思ってる人ですかぁ? なら最有力候補は四宮先輩じゃ」
    「何ですか? 石上くぅん?」
    「ひっ……いえ何でもないです」

     トラウマ再びとばかりに震える石上。だが、「あ」と呟くと咳をひとつして四宮の方へ向き直る。

    「四宮先輩、ちょっと聞きたい事があるのですが」
    「はい。何でしょう、石上くん」
    「そういえば、四宮先輩は藤原先輩のところへ最初に駆け寄ったうえに『脈が無い』と言いましたよね? それは何故です?」
    「ああ……」
    「んー、そうだな」
    「確かに。そうですよね」

     そう、四宮の行動は怪しい。実際は生きている藤原千花に対して『脈が無い』と言うのは協力者だと言っているようなものだ。しかし、その回答を特に動揺する様子もなくさらりと言い放つ。

    「簡単です。藤原さんが死んだフリをしているのが分かったので咄嗟に合わせただけですよ」

     かつて四宮にドッキリを仕掛けようとした時、逆にドッキリ返しをされた事があった。皆の納得は容易である。
     藤原千花のイタズラを藤原が倒れて周囲がどよめいている間に看破、持ち前の頭の回転の速さで機転を効かせイタズラに加担。これをあの一瞬で行えるのが四宮かぐやという人間だった。

    「まさか伊井野さんがあんなにも信じてしまうとは思わなかったので……すみません」
    「いえ……私こういったイタズラに慣れてなくて。確かに本当に先輩が亡くなっているとしたら血の臭いですぐ分かりますよね」

     ただの血糊が本物のように臭う筈がない。もし本物、もしくは本物に限りなく似せた血糊なら、生徒会室から漂う異臭で無関係な生徒達に気づかれていたかもしれない。流石のエンターテイナー藤原もそこまでこだわりはしない。
     悄気げてユラユラと揺れている伊井野のお下げを見た石上が「なんたってあの藤原千花ですからね」と笑う。

    「僕も結構本気にしちゃいましたよ、藤原先輩だけだったらどうせイタズラか何かだろう、で済んでいたでしょうし。四宮先輩の台詞の説得力は凄いですからね」

     どう見てもフォローしているが……当人には気付かれなかったようだ。

    「石上とはまるで大違いね。あっ私は犯人石上だと思いますっ、いつも藤原先輩に暴言吐いてますから」
    「そんな訳ないだろ! あの人が変なことしか言わねぇから正論言ってるだけだからな!」
    「それがヒートアップして勢い余って藤原先輩を刺し殺したんじゃないの? うわっ、最低……」
    「さ……!? は!? 本当に殺されて死んだみたいに言うなよ! だから僕には殺す動機なんて……!」
    「動機、か。犯人が殺意を持ってるとは限らないよな?」

     二人の動きが止まった。

    「と、言いますと?」
    「そもそも藤原書記のゲームに協力してるような奴が藤原書記に殺意なんて抱いている訳がないだろ。つまり、犯人は……どちらかと言えば、藤原に好意を持っている人物なんじゃないか?」

     日常茶飯事的な会話の中にこそ、ヒントは隠されているものだ。重要なのは藤原千花を殺した動機ではなく、犯人がこのゲームに協力している動機の方。

     藤原千花に好意を持つ人間といえば。
     今度は一斉に伊井野ミコへと視線が集中した。

    「えっ?」

     あがり症の伊井野は見る見るうちに涙目になった。

    「伊井野……」
    「ち、ちがっ、わた、私じゃ」


    「や〜め〜て〜〜〜!! ストップ! ミコちゃん泣かせたら私がゆるさないんですよ!!」
    「お前犯人分かるまで起きないんじゃ無かったのかよ!」

     突然、血塗られた口元の藤原が伊井野めがけて一直線に飛び込んできた。伊井野は涙目になりながら憧れの先輩にひしと抱きつき、そんな可愛らしい後輩にしがみつかれた藤原はヨシヨシと頭を撫でている。その様子を見た石上はやれやれという仕草をした。

    「そもそもこんなギスギスするようなゲームを始めさせたのは藤原先輩ですよね? 犯人なんかどうでもいいんで早く終わらせちまいましょうよ」
    「あら、石上くんは犯人が分からないのですか? 私、犯人が分かりましたけれど」
    「は?」











     しまった。ついうっかり声を出してしまった。
     四宮は、『こちら』を見てくすりと笑った。

    「ですよね、会長?」



    「どうして分かった?」

     そうだ、確かに犯人『役』は俺だ。その事実を知った石上と伊井野は「ええ!?」とただただ驚いていた。藤原は不貞腐れていた。
     待て。ちょっと、流石に速すぎると思う。このほぼヒントがない状態で俺が犯人だと特定出来るものは無かった筈だ。藤原が何かやらかしたのか?

    「だって会長は、藤原さんと同じクラスじゃないですか」
    「反則!! かぐやさんそれ駄目でしょ!!」

     やらかしていた。
     生徒会室に入る前、四宮は「HRが長引いた」、伊井野も「石上のせいで遅れた」と言っていた。言わずもがな石上は伊井野が遅れた元凶らしい。俺は初め四宮の「HRで遅れた」という話に同調し、肯定していたがそれは嘘だ。そのことは同じクラスである筈の藤原書記が誰よりも先に生徒会室に来ていた事が証明となってしまっている。つまり、消去法でいくと犯人は俺しかいないと言う訳だった。暴かれ方がポンコツのそれ過ぎるだろ。
     四宮のある意味トンデモ推理を聞いた藤原は頭を抱えながらジタジタとバタ足した。
     
    「昨日から考えてて!! あの実はこの紙に秘密があって……」

     事の顛末はHRが終わり、藤原と一緒に生徒会室にやってきたことに始まる。
    「皆さんが驚いて慌てふためいている顔、見たくないですか?」といういつもの藤原書記のゲス発言により「ちょっとミステリっぽいことしたいので、会長犯人役お願いします!」と突然言われ、さらに「数分後、皆さんと一緒に入ってきてください!」と部屋を追い出されて暫く学校内を彷徨いていたら他の三人に鉢合わせた、というただそれだけだ。別に喜んで犯人を志願した訳じゃない。

    「……白銀先輩の裏切り者……」

     俺が回想に耽っていると聴こえるか聴こえないか位の小さな声が耳を掠めたのでハッとした。顔を上げたら、俺の発言により犯人候補筆頭となった伊井野がムスッとしながらこちらを見ているのが分かった。違うんだ、伊井野を貶めようとしたとかじゃなくて石上が疑われてたからヒントを与えようとしただけでさあ……。

    「皆さん!! 見て! これが答えですよ!! この最初に落とした紙、なんとなんと~水分を弾くんです! すごいでしょ~! これを血糊につけて弾かないところに色が付くからそこに浮き出てくるのは……よいしょ、ふー。ほら、『はんにんはかいちょう』って出てきたのにー!!」
    「何っだそれ!! テメ最初から俺を犯人にするつもりだったのか!!」
    「えー……藤原先輩、そりゃ強引過ぎやしませんかねぇ」
    「そういえば、その紙誰も見ようとしませんでしたね」
    「はっ……! そんな……藤原先輩がちょっと可哀相です!」
    「ちょっと?」

     ここでパン、と手を叩く音がした。四宮だった。

    「はいはい。お遊びは終わりです、仕事しますよ、時間も押してますから。藤原さん、広げた物は片付けて下さい」
    「うぅ……次回はもっとハイクオリティーなものを考えてきますので首を洗って待ってて下さいよ!」
    「もう考えてこなくていいですよ藤原先輩」
    「嫌ですぅ! ふっふっふ、石上くんはいつかこの私が絶対びっくりどひゃー!!と言わせますからね!」
    「え? 何ですって?」

     数ヶ月後……四宮が打ち明けた驚愕の事実により、その台詞をまさか自分が口にするとは微塵も思っていない藤原書記だった。


     帰り、俺と四宮は昇降口まで二人で歩いていた。他の三人は仕事を終わらせた後先に帰っている。


    つづく!
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    全文分级:NC-17
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    今年419的课题是:思春期
    本篇约2.6w字。



    *

    这是不会发生的事情。

    这条再熟悉不过的柏油路,她至少有一年多的时间都在这条路上往返,一开始还有些不熟悉,总是会在红绿灯亮起时下意识朝原先的方向走去,不过等过了马路又会想起来走错了,于是她又站在路口等信号灯再次变色好让她走向当下正确的路。这条路上要路过几个路口,几个信号灯,地铁什么时候来,街边有哪些商店,她都记得很清楚,即使是闭上眼睛在睡梦中也会将这个场景还原出来。耳边一晃而过的啼鸣、来来往往的学生——这条路上有很多学生,和她不同的校服象征着不同的目的地。她出现在这幅画卷中恰如其分,如同一滴清澈的眼泪缓缓从天与街道的交界处流淌下来,地上是前不久被雨水打落的花瓣,粉色的、铺天盖地,好似“罗曼蒂克”这一词被卷进碎纸机里泼洒了一地。从樱花树的中落下斑驳的阳光,落樱被照亮几处,她的眼睛慢慢亮了一点,双腿开始往前,周围的景色也开始因为她而流动。她的耳朵开始听到了更多声音,身旁的人笑了起来,她困惑地停下,抬起头望向了走到自己对面的人。她试图辨析出那个人所说的单词,未果,失落地沉下了视线。现在应该是在上学的路上,但是自己为什么会伫立在这儿,貌似是因为刚才对方说了什么自己才无法离开。但是她实在分析不出刚才的那几个发音到底所指的是什么,肩上的通勤包愈发沉重,她竟然忍不住深深吸了口气。
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