毎夜ではないが、それでも二人揃えば「一緒に寝ましょう!」と枕を持ちそう言うのだが、誘われたその人はニコッとして
「おやすみ」
そう言って自分の部屋に入っていく。
今日もボクは同棲した時に浮かれて買ったダブルベッドの上で一人泣いていた。これで何敗目だろうか、五十回辺りで数えるのをやめた。
付き合ってから何年も経つのに、一緒に寝たのはまだ両手の指の数にも満たない。
夜の営みに至っては片手程度。
一緒に眠れる時間なんて限られており、明日にでもハララさんは北の方に依頼を受けに行って、一ヶ月は戻らないと言っていた。
今日も暫く会えないから寂しい、と付け加えたのだが「おやすみ、ユーマ」と顔も見ずに扉を閉められてしまった。
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