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    たまご侍

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    たまご侍

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    『星振祭』ーアイオライトの章ー
    公務に励むアマルとアイオライトの騎士レイジくん!(お借りしました!)
    時系列はカグヤチームの作戦決行前。

    『星振祭』ーアイオライトの章ー「ワシに幾つか譲ってくれないだろうか?」
     極悪大富豪"クリソプレーズの君"であるアマフッドへ、和かな顔で交渉を試みる女。アマル・モーネリアこと大富豪"アイオライトの君"。

    「噂は聞いておる あるのだろう? 星振腕輪が…」

     今回は顔出しだけで済ませるつもりであったが、何やら星振腕輪という財宝が眠る遺跡の鍵と言われる腕輪を持っているらしい。
     これを高値で市場で売ることもできるのではないかと考えたアマルは"アイオライトとしての顔"を用いて、優しい声で囁く。
    「これぐらいなら出しても良いのじゃが…」とアマフッドの手を取り、指先で手のひらに字を書き始める。

    「如何だろうか?」

     指先でアマフッドの手のひらに書いた数字をアマルは握らせて、妖艶に微笑む。アマフッドは初めこそ渋っていたものの、その所作に魅了されてなのか、金額に心躍らせたのか、星降腕輪を幾つか貰えることとなった。

    「交渉成立じゃな」

     そう言い放つとアマルはアマフッドを握っていた手を捨てる様に離す。夜の食事にも誘われたが「先約がいるでな また今度よろしく頼もう」と言って断った。勿論、"先約"などいない。

    「拭くものを持ってこい」

     何人か連れて来た従者に布をもらうと、手をゴシゴシ拭き始め「気色が悪い」と呟く。アマルは拭いた布を「捨てておけ」と言ってアマフッドの女中に押し付けた。

    「レイジ 帰るぞ」

     青いメガネをした青年…レイジが腰につけた双剣に手をかけながらアマルに話しかける。

    「あないな奴にそないなことしんでも 脅したら一発やろうに…」
    「それは最後の手段じゃ 飴を与えてもわからないやつに鞭で解らせる…それに揉め事は面倒じゃからのぅ」

    「ふーん まぁあんたがいうならそれでええか」
    ニカッと笑うレイジにアマルは釣られて口角が少し緩む。

    ドン

     その時、何かがアマルの右腕にぶつかる。

    「あわわわ!!ごめんなさいごめんなさい!」

     メイドの格好をした赤髪の少女が慌てた様子ですぐさま謝る。"アマルではない人物、レイジに"。

    「レイジ 落ち着け」

     彼はすでに赤髪の少女の首元へ剣を当てていた。獲物を定めた目に恐怖を覚えた少女は涙目になって震えている。

    「ワシはなんともない おろしてやれ」

     そう言うとレイジはスッと剣を下ろし、そのまま腰に仕舞う。

    「嬢ちゃんよかったなぁ〜!"アイオライトの君"様に感謝しぃや!」

     パッと笑顔になるレイジだが、目が笑っていなかった。少女は「あ、ありがとうございます!アイオライトの君!」と言われたままに感謝を述べ、安堵した笑顔を向けると足早にその場から離れていった。

    「…」

     アマルはその背中を目線で追っていく。
     無言のままの主に違和感を覚えたレイジは目線を先を見ると、赤髪のメイドが遠くの方で少女狐のデミヒューマンと従者の男と集合していた。

    「レイジ あの大富豪について調べられるか?」
    「おう 付き人の2人もやろ?」

     アマルが指示する前に2人の調査も提案するレイジ。

    「あぁ 我が調査隊の指示権限を与える 其奴らを使って調べて欲しい」
    「…"危険"そうに見えへんけどな」

    「そうじゃな 杞憂だとよいのじゃが」

    ______あの富豪らしきデミヒューマンは見た事がない。

     アマルは不審感を覚える。
     自身が有利に動くために富豪の名前、称号、趣味、稼ぎ所を調査し、誰と誰がつながっており、結託しているのか常に掌握してきた。だからこそ、その見知らぬ人物に不審感を覚えずにはいられなかった。
     他にも気になる点がある。従者であるなら常に側に仕えなければならない所を"あの女中"は自由に出歩いていた。あの富豪が許可したのか、はたまた礼儀知らずなのか。

    『部外者』と言う単語が脳裏をよぎる。

    (杞憂だとしても、新たに生まれた大富豪なら把握しておくのも悪くはない)

    「頼んだぞ レイジ」
    「仰せのままに」

    (にしても…男は知らへんけど 狐と赤髪の2人はどっかで見たような…)

     捨てた者、拾う者。それは二つの道が一つになる終着点までの合図。交わり、そしてその先の運命は、神のみぞ知る。


     
    to be continued...
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