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    umehasaita

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    umehasaita

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    ツイッタで妄想してた大人五に翻弄される夏が書きたかった、とりあえず書きたいとこだけ
    転生夏(記憶なし)五(記憶あり)だけど、夏もそのうち記憶戻ってハピエンになるんだきっと

    転生夏五!「んもぅ傑ちゃん、ちょっと飲みすぎじゃない?」

    バーのマスターが呆れたように声をかけてくる。
    目の前に水の入ったグラスが置かれた。薄暗い店内、仄かに光る照明はブルーライトを浴び続けた目に優しい。
    「大丈夫だいじょうぶ、明日休みだし」
    お得意のスマイルで返せば、もー、その顔すれば許されると思って…などと彼女(外見は彼だが)はぶつくさ言いながらも壁際の棚からぴかぴかに磨かれたグラスを取り出し、酒の準備をしてくれる。カラン、と手元の空っぽのグラスの氷が涼し気な音を立てた。

    夏油傑は東京都心で会社員として働いている。仕事は程よく残業も多く、帰って自炊をするのも面倒な時は外食で済ませてしまうことが多かった。職場からほど近いビルの地下一階にあるこのバーは特にお気に入りだ。マスターの人格によるものか、堅苦しい雰囲気もなく、気が向けばメニューにない軽食を作って貰えるのも有り難かった。丁度月末の金曜日、抱えていた案件を何とか一区切りさせたご褒美に、すっかりお決まりになったカウンター席でちびちびと旨い酒を飲んでいる。

    ふと、幾分火照った頬に心地良い風が当たって、風の出処へ視線を向ける。左手の入口のドアを開けて客が入ってくる所だった。特にそれ以上の興味も唆られず、小皿に盛られたナッツを摘んで雑に口に放り込む。
    「いらっしゃいませ、……アラ、いい男♡」
    左隣の椅子が引かれる。どうやら先程の新規客が座ってきたらしい。店内は程よく混み合っているが、カウンターで隣り合わねばならない程ではない。
    …こういう店で絡んでくるタイプか、面倒だな。
    本格的に絡まれる前に牽制しておくか、そう思って隣を見たのだ。

    ──ちょっとお目にかかれない程に、見目の美しい男がそこに居た。髪は白銀、バーの落ち着いた照明を拾い、冬の早朝、誰も踏みしめていない雪面のようにキラキラ光っていた。瞳は深い蒼、アーモンド型の輪郭を髪と同じ白が贅沢に縁取っている。その他にも、すうっと通った鼻筋だとか、艷やかに色づいた唇だとか、とにかく、これ以上ないってくらいに美しい造形をしていた。おまけに、どうやらスタイルも良い。夏油も背の高い方だが、隣の男も同じくらい窮屈そうにカウンターの下にすらりとした脚を押し込めていた。

    想定外のビジュアルにじろじろと見つめてしまっていたらしい、視線がばっちり交差する。ドキリと心臓が跳ねる。

    「こんばんは?」
    形の良い唇がきゅっと上がり、にこやかに挨拶される。見た目から想像していたよりも低温の声が耳に心地良い。
    「…こんばんは」
    「ごめんね、隣座っちゃった。…店に入ってあなたを見つけて、話してみたいなあって、思っちゃって」
    牽制するつもりが先制を食らっている。ガラにもなくドギマギして、いや、とか何とか口の中でもごもごと返すことしか出来ない。
    「何飲まれますぅ?」
    マスターが男に声を掛ける。心なしか何時もより声のトーンが高い。
    ん〜、唇へ人差し指を当てしばし思案した男は、ふいに腰を浮かせ、カウンター越しのマスターの耳へそっと何事かを囁いた。やはり背が高いし、そこら辺の奴がやったらドン引きされそうな仕草もサマになっている。マスター、うっとりしてないで早く私のお酒も用意して欲しいな。

    「…お待たせしました、ごゆっくり♡」
    幾らも待たず、二人の前にそれぞれのグラスが置かれる。良い男に目がない彼女の事だ、本当は加わりたくて仕方ないのだろうが、そこは接客のプロ、空いたグラスを手にカウンターの向こうへ戻っていった。

    「じゃ、乾杯!」
    「…乾杯」
    カチン。グラスが触れ軽やかな音を立てた。
    ……本当に綺麗な人だな。良くないとは思っていても、ちらちらと見るのを止められない。
    「良くここには来るの?」
    「あ、ああ…職場が近くて」
    へえ、そうなんだ。
    君は?……僕?僕のことより、あなたのコト、教えてよ。
    その後も色々な事を話した気がするけれど、会話の中身はろくに覚えていない。
    覚えているのは、グラスの縁をなぞる指が水滴を纏って濡れていたこと、此方をじっと見る青い目があからさまに蕩けていったこと。それから、その指に触れられ、視線を絡め取られて囁かれた言葉。
    ──ねえ、僕、……酔っちゃった。


    「う…………、頭痛い」
    「おはよ♡しっかり二日酔いみたいだね」
    「ぅわっ…!!!……え??君、えッ…??!」
    自分の出した大声にぐわんと殴られて頭を抱える。もっとも、頭を抱えているのは二日酔いのせいばかりじゃない。
    夏油のベッドに腰掛けて微笑んでいるのは、間違えようもない、昨晩バーで出逢った男だった。
    男はゆったりとしたTシャツを纏っているが、長い下肢は惜しげもなく朝の陽光に晒されている。
    ちらりと覗く太腿の内側に散った赤い斑点が目に留まって、思わず顔を逸らした。
    ……っていうか、あれ、私、全裸じゃない??
    …もしかして、そういうコト?ええ〜…全然思い出せない……
    「はは、ウケる。顔色悪いよ」
    「あ、いや、その……ゆうべは、」
    「ん〜?もしかして覚えてなぁい?」
    「………、すまない…、えと、」

    別に、酔った誰かをお持ち帰りをするのが初めてって訳じゃない。だけど、こんなに記憶を飛ばしたことはないし、男を持ち帰ったことも勿論ない。多分身体の具合からして、私が彼を抱いたんだと思う。けど、何でそうなったんだっけ……?何とか記憶を掘り起こせば、昨晩男にバーで囁かれた言葉が浮かんできた。
    「…きみ、君は……?結構飲んだんじゃあないの?」

    我ながらズルい質問だったと思う。そっちから仕向けてきたんだよね、と暗に確認するような。
    んふ、と男は唇の端を引き上げるようにして笑う。
    「そうだね。僕、確かに酔っちゃった、って言ったよ」
    「ああ…!そうだよね、やっぱり」

    でもね。きゅっと窄まった唇が、歌うように告げる。
    「僕、実は昨日お酒飲んでないんだよね」
    「─……は?」
    いや、だって、今確かに言っていただろう。こちらの思考を見透かしたように男は言う。
    「かなりハイペースで飲んでたから、忘れちゃったかな。……僕、“君”に酔っちゃった、って言ったの」
    「はぁ…??」
    言ってたか、そんな事??思いっきり怪訝な顔をしていたと思うが、男は意に介さず機嫌良く笑い続けている。
    「だから、まあ、僕はシラフで抱かれたワケ。泥酔した君に襲われてね」
    …何だか雲行きが怪しくなってきたぞ。襲われたとは人聞きが悪い。
    「……どうして欲しいんだ」
    「別に、どうも?」

    その方がいいと思ったから。
    ぽつりと呟かれた言葉にそれまでとは違う色が滲んでいる気がして、妙に引っ掛かった。男はベッドから腰を上げて、くしゃくしゃのまま転がっていたズボンを手に取った。
    「傑、セックス上手だね。気持ち良かったよ♡」
    「え。何でなまえ、」
    「やだなあ。昨日自分で言ってたじゃない」
    そうなのだろうか。何一つ確信が持てず、男がてきぱきと身支度を整えてゆくのを黙って眺めていた。
    ふと、ベッドボードに置かれた香水に男が目を留める。
    「これ、付けていい?」
    夏油の返事を待たず、手に取ったそれをしゅっと自らの手首に吹きかけた。嗅ぎ慣れた香りがふわりと広がる。振り返った男が朝には似合わぬやり方で笑う。
    「ふふ。傑の匂い」
    「なッ……!」
    「じゃあね。さよなら」
    そのまま部屋を出ていこうとする男を反射的に引き留めようとして、彼の名を知らない事にようやく思い至った。
    「待って……ッ!、…あの、君の名前、は?」
    男の背中が一瞬ぴくんと震えたように見えた。もしかしたら、これも昨夜既に聞いていたのかもしれない。気に障っただろうか、と思ったけれど、もはや取り繕っても仕方がない。
    「…さとる」
    「え」
    「悟、だよ。傑」

    ほら何にも知らないでしょ、僕のこと。
    これ以上、知る必要もない。

    硬い声が淡々と告げる。背を向けたままの彼の表情は窺い知れない。豹変した態度が怒りによるものか、元々こうするつもりだったのか、夏油には推し量る術がない。…当たり前だ。たった数時間、それだけの関係なのだから。

    「……お邪魔しました、ありがと♡バイバイ」

    彼を引き止める言葉など持つ筈もなく。
    夏油はただ、元の調子で軽く落とされた言葉と、ドアが閉まる重たい音を聞いた。



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    転生夏(記憶なし)五(記憶あり)だけど、夏もそのうち記憶戻ってハピエンになるんだきっと
    転生夏五!「んもぅ傑ちゃん、ちょっと飲みすぎじゃない?」

    バーのマスターが呆れたように声をかけてくる。
    目の前に水の入ったグラスが置かれた。薄暗い店内、仄かに光る照明はブルーライトを浴び続けた目に優しい。
    「大丈夫だいじょうぶ、明日休みだし」
    お得意のスマイルで返せば、もー、その顔すれば許されると思って…などと彼女(外見は彼だが)はぶつくさ言いながらも壁際の棚からぴかぴかに磨かれたグラスを取り出し、酒の準備をしてくれる。カラン、と手元の空っぽのグラスの氷が涼し気な音を立てた。

    夏油傑は東京都心で会社員として働いている。仕事は程よく残業も多く、帰って自炊をするのも面倒な時は外食で済ませてしまうことが多かった。職場からほど近いビルの地下一階にあるこのバーは特にお気に入りだ。マスターの人格によるものか、堅苦しい雰囲気もなく、気が向けばメニューにない軽食を作って貰えるのも有り難かった。丁度月末の金曜日、抱えていた案件を何とか一区切りさせたご褒美に、すっかりお決まりになったカウンター席でちびちびと旨い酒を飲んでいる。
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