ぬいちね 無自覚惚気「新垣、相談があるんやしが……」
「どうしたの? ともくん」
帰り道、不知火は新垣にそう告げた。新垣の心中に不安が募る。ダブルスの戦略の話か、それともダブルスパートナー解消の話か……そんな予感が過ぎる程、不知火は深刻な顔をしていた。
「……知念の事なんやしが」
「知念先輩の?」
予想外に登場した名前にキョトンとしていると、新垣は手をわなわなと震わせた。
「付き合ってからというもの、前より俺の事おちょくる回数が増えて……! 人前でくっついてくるわ、会う度に頭掴んで来るわで大変なんばーよ!」
「はぁ……」
「なあ、これって恋人として尊重されてないんじゃないか」
ぐるんと顔をこちらに向けてくる不知火。新垣はふかーーく溜息を吐いて、白けた眼差しを幼馴染に向けた。
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