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    (高内主従)氷菓子を食べる話【二次創作】
    あめさんのTRPG平安譚8陣のたかーきらさまと従者の内麻呂くんの話。カップリング要素なし。

    【二次創作】氷菓子を食べる話(高内主従)「暑いですね…」

    高明が疲れた様子で呟く。昨晩は酒宴があり、高明はもちろん、主人の帰りを待っていた内麻呂も寝不足だった。
    庭に目を向けると、蝉が懸命に鳴いている。空は青く、夏真っ盛りだ。

    「今日はお勤めもないので、お休みになられた方がよろしいかと」

    水を差し出し、内麻呂は主人を気遣う。高明が「そうですね」と言ってため息をついた。

    「そうだ、しばらくお待ち下さい」

    内麻呂はそう言って部屋を出る。しばらく経った後、手のひらに器を乗せて持ってきた。器の中には白い、餅のようなものが入っている。

    「氷菓子です」
    「氷……削り氷とは違うようですね?」
    「はい、ぜひお召し上がりください。冷たくておいしいですよ」

    高明は受け取った氷菓子をまじまじと眺める。見たこともない、不思議な食べ物だ。白くてひんやりとしたそれに、高明は匙をつける。口に含むと、冷たさと甘さが広がった。

    「これは……とてもおいしいですね……!」

    高明は目を輝かせる。そんな彼の様子を見た内麻呂も嬉しそうに笑った。なんでも、土に触れて直接食べられなくなった氷の冷たさを活用して作られた甘味のようで、膳部がまかないとして考案したところあまりに美味なため、お上の口にも入るようになったのだそうだ。

    「今日は特別に氷を分けてもらって、作りました」

    以前にマカロンなどの菓子を再現する際、膳部に協力してもらったことがある。その時の縁で融通してもらったのだろう。

    「膳部の方にお礼を言わないといけませんね」
    「はい、きっと喜びます。高明様のお顔も晴れてよかった」

    高明は氷菓子に舌鼓を打ち、内麻呂もそんな主人の様子に嬉しそうに笑った。

    「ところで、内麻呂くんの分は……」
    「僕は大丈夫です。実はそちらを作った際、味を見るために少しいただきました」

    内麻呂は照れ臭そうに頬をかく。高明は、氷菓子に舌鼓を打っていた時とは打って変わって悲しげな表情になった。

    「どうかされたのですか、高明様?」

    内麻呂が尋ねると、高明は眉を下げて力なく笑う。

    「いえ、僕だけ食べていたので、なんだか申し訳ないなと思って」

    その言葉に、内麻呂は意表をつかれた。だがすぐに優しく微笑む。

    「お気遣いありがとうございます。しかし、高明様の疲れがとれたようで、僕は嬉しいです」

    内麻呂のまっすぐな言葉に、高明は胸の奥が温かくなるのを感じた。

    「では、また今度、一緒に食べましょう」
    「……はい!」

    内麻呂は目を大きく開けて、やがて顔をほころばせる。その様子を、高明は嬉しそうに眺めた。
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