Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    kusabuki2

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 23

    kusabuki2

    ☆quiet follow

    高嶺が雨宿りする話

    高嶺が雨宿りする話怪異の捜査中、急に雨が降ってきた。高久は永嶺を抱き上げて神社へと入る。

    「しばらくここで雨宿りをさせてもらいましょう」
    「そうだな。……もう降ろせ」
    「あ、そうでした」

    高久が抱えていた永嶺の身体を下ろす。
    永嶺は高久から離れ、ふいと横を向いた。しかし顔が赤い。

    「永嶺様?どうかなさいましたか?」
    「いや……なんでもない」

    高久が心配そうに尋ねると、永嶺はそっぽを向きながらそう返した。

    「……もしかして、照れていらっしゃいますか?」
    「なっ……! 何を馬鹿なことを……!」

    図星をつかれた永嶺は反論しようとしたが、うまく声を出すことができなかった。

    「すみません、少し調子に乗ってしまいました」

    高久は申し訳なさそうに謝った。

    「……べつに怒ってはいない。ただ、恥ずかしかっただけだ」

    永嶺は小さな声でそう答えた。

    「そうでしたか、良かったです」

    高久は安堵の表情を浮かべていた。

    2人の間に沈黙が流れる。雨が地面を濡らす音がやけに大きく聞こえた。
    しばらくして、永嶺が口を開いた。

    「なあ、高久」
    「はい、なんでしょう?」
    「……その、いつも感謝している。いつも、私を守ってくれていることに」
    「えっ……?」

    唐突な永嶺の言葉に、高久は驚いた様子だった。

    「たまには、礼を言ってやろうと思っただけだ」

    永嶺は照れているのか、顔を背けたまま言った。

    「ありがとうございます。でも、その言葉だけで私は十分嬉しいです」
    「……本当に馬鹿だな」

    永嶺は小さく呟いた。

    「ん?何かおっしゃいましたか?」
    「……なんでもない」
    「雨がまだ強いですね……。永嶺さま、寒くはありませんか?」
    「ああ、大丈夫だ」

    永嶺は頷いた。しかし、身体は少し震えていた。
    高久はそれを見て、自分の上着を脱いで永嶺の肩に掛けた。

    「おい、何をする」
    「寒いのでしょう?私ので良ければお使いください」
    「……お前も冷えてしまうだろう」
    「大丈夫ですよ。私はこの中あたたかいですし、それに、こうしていれば近いので暖まりますよ」

    高久は永嶺の手を取って握った。

    「……馬鹿もの」

    永嶺はそう言ってそっぽを向いた。その顔は少し赤かった。
    その後、雨が止むまで2人は手を繋いだまま身を寄せ合っていた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works