それは1冊の本からその本屋は近代都市スメールの裏通りにあった。不思議な雰囲気の女性が店主の小さな本屋。その本屋で2人の青年が運命の出会いを果たす。
これはそんな2人物語・・・・
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「・・・こんなところに本屋?」
スメールの大学に通う青年、アルハイゼンは親友がバイトをしている喫茶店に向かう途中、たまたま近道しようと通った裏通りで見慣れない本屋を見つけた。たまに通る道だが本屋なんてあっただろうか?、と考えたが、本についてわからなければアルハイゼンに聞け、と言われるほど本が好きな彼の好奇心がくすぐられた。
「新しい本を買って持っていくのも悪くないか」
ちりーん
ドアを開けるとベルの音が鳴る。紙の本特有の匂いが鼻腔をくすぐる。アルハイゼンはこの瞬間が好きだった。最近は電子書籍が流行っているがアルハイゼンはあまり好まず紙媒体を好む。紙の匂い、手触り、重さ・・・それら全てを彼は好きなのだ。
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