円とヴィオレッタが主従を組む話 この学園には、主従制度がある。将来的なことを考えると、早いうちから組んでおくのがいいのだろうと思ってはいるが。
「いない……」
何回か、主従の申し出はあった。なぜか女子からの方が多かったが、その理由はわからない。女子と話すの苦手なのだが…。そして、試しに組んで戦闘訓練をしてみると、やはり自分の能力のランダム性が悪い方に働いてしまう。その結果の、「ごめんなさい、卯八先輩とはちょっと、組めそうにないです…」これが幾度と繰り返されてきた。
なんとか出す生き物を任意のものにできないかと試行錯誤してはいるが、どれも実りがない。主従を組めずとも卒業はできるが、学生のうちからこんなことで躓いていて将来大丈夫なのだろうか…。そこからはもう、悪い可能性しか思い付かなくなってしまった。これも自分の欠点の一つだと思う。でも、一度浮かんでしまった考えは中々消えず、シミのようにじわじわと脳みその中に広がっていく。どうしよう、どうしよう。高等部に入ったことで、学園生活の終わりが見えてきてしまったことも、焦りに拍車をかけた。
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