ヒョロワッサンに癖を把握されているセイヤがもらったおすすめの触手で一筆したためてみる。しまった。
どうやら勘違いされている。
小気味の良いバンっ、という音とともに、身体が横に吹き飛ぶ感覚を味わう。
クラーゴンの子供が迷子のようだったので、海に返したところを母親に見つかった。
島育ちとはいえ、モンスターと共に育ったとはいえ。
すべてのモンスターと意思疎通出来るわけではない。
だが「母親」が「我が子に危害を加えられた」と感じた時の脅威は分かる。島で何度「怒られた」ことか。
吹き飛ばされた方向に佇む岸壁にぶつかる直前、なんとか身体を翻して脚で壁を蹴って体制を立て直そうとした。上に一旦逃げて、なんとか説得出来ないだろうか。
そんな考えも虚しく。
こちらの動きをすべて把握しているかのように。
上に逃げようと顔を上げた時には、すでにその触手に絡め取られ、また勢い良く地面に叩きつけられる。
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