来年の、約束 午後の手術を終えると、病院のエントランスに飾られている小さな笹の脇に置いてある短冊を一枚取って、刈矢は病院の中庭に行った。ベンチに腰掛けて空を見上げる。雲がまばらに散った青空だった。
「今日はデート日和スね」
胸ポケットのボールペンを取り出して願いを考えて、何も書かないまま短冊とボールペンを胸ポケットに仕舞った。湿度の高い、じめじめした暑さが肌にまとわりつく。白衣を脱いでしまおうかと思ったが、思い直して白衣の前ボタンを留めると、タバコをくわえて火をつけた。
1本吸い終えて、2本目を出して火をつける。あまり美味しいとは感じられなかった。
「待ちあわせ、してたわけじゃないスけど。待つのってしんどいスね」
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