舞台のあなたに恋をして。舞台で自由に踊る天彦は、いつもと違う彼だった。
その姿が艶やかで、美しく、愛らしさも兼ね備えていることに、ふみやは驚いた。衣装は、裸に近しいようなエロティックなものなのに、不思議と下品には見えない。彼は、エロくても上品なエロさを醸し出しているのだ。他のダンサーなんて、霞んでしまうくらい、誰しも舞台の天彦に夢中だった。
危険な笑みを浮かべながら、くるくると器用にポールダンスを踊る彼は、本当に自分が知っているあの天堂天彦なのだろうか。
だって、あんな天彦を今の今まで俺は知らない。
ーーーもう駄目だ。ふみやは、彼の存在から目を離せなかった。好き勝手に踊るあの男を目で追うことしか出来ない。
「最後は、せーの……エクスタシー!」
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