イカロスの渇望 生まれてこの方本気で人を好きになったことがなかった青年の。これは強烈なまでの渇望だった。
どんなに思っても届かないのかもしれない。
無意味かもしれない。
だからこそ。手を伸ばし続けることに意義がある。
彼がそう説いたように。
青年は誰に求められることがなくともこの戦場に立つ。
そこに自分を肯定してくれる人々がいるからでは決してない。
自身を神だという人々もいるが、神ではない。ただの人だ。
神と崇める者たちは知らない。何度も失敗を重ねてハズレを潰していく作業があるのだと、それに目を瞑っているだけだ。成功など結果論にしか過ぎない。
『失敗は成功の元と言うじゃないか。うんと失敗して失敗して失敗して最後に生み出したものが成功じゃなくとも。挑戦には意義がある。君は続けたときにその尊さに気付くだろう。だから続けなさい。アルバート』
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