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    kurui_usagi39

    @kurui_usagi39

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    kurui_usagi39

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    アベ穹が🍣デートするおはなし。
    🦚💫のつもりではありますが主に二人が🍣口ーで食べまくっているだけです。ちなみにお会計は🦚が払いました

    はじめてのスシ屋スシ。
    酢を混ぜ込んだ米を固め、スライスした生魚等を乗せて食べる料理。
    いくつかの惑星で似た料理が確認されているようだが、銀河的に有名なのは江戸星のスシだろう。
    新鮮な魚介類がキモとなる為に高級料理として扱われる事も多いが、江戸星では庶民にも親しまれている料理である。
    【寿司郎】はそんな江戸星から銀河へ進出した、『うまくて安い』を経営理念とするリーズナブルなスシチェーン店だ。
    そんな【寿司郎】が、ピアポイントにも店を構えた。
    以前からアーカイブに載っていたスシが気になって気になって一度食べてみたいと思っていた穹は、その一報を聞いて迷うことなく現地へ向かった。

    「ここが…寿司郎…!」

    「ふぅん、中々繁盛してるみたいだ。席の予約をしておいて正解だったね」

    がやがやと賑わう【寿司郎】の店先。
    せっかくピアポイントに来たから、と『もしよければ一緒に行かない?』とスターピースカンパニーの知り合い何人かに誘いを掛けたところ、唯一都合のついたアベンチュリンと共に穹はそこへやってきた。
    周囲から少し視線を感じるが、それはもう仕方の無いことだろう。
    ここはカンパニーのお膝元。高級幹部であるアベンチュリンを知っている人も多いだろうし、そうでなくても彼はいつも華やかで、何処に居ても目立つ。
    おまけにその隣には俺みたいな美少女が立っているのだから、視線くらい集めて当然だなと穹は1人うんうんと頷いた。

    「分かりやすい予約システムで助かった。穹くん、多分こっちの方の席だよ!」

    「お前もまだ来たこと無かったんだっけ、ここ」

    「うん。スシ屋は他にもいくつかあるし、スシ自体は何度か食べたけど…こういうファミリー層をターゲットにした店自体、あまり来る機会が無くて」

    周囲の家族連れを眺めて寂しげに笑いながらそう語ったアベンチュリンに、穹は少しだけ胸が切なくなる。
    これからはちょくちょくこういう店に連れていくのもいいかも、等と考えながら順番待ちの人々をかき分けて指定されたテーブル席へ向かい、2人は無事に着席した。
    テーブルを挟み向かい合わせの2人の横には、大きな大きな液晶モニター。
    どうやらタッチパネルになっているらしく、これを操作して注文するようだ。

    「さて穹くん、先ずは何から食べたい?」

    「あ、先に言っとく。今日は奢られてやらないからな!俺から誘ったんだから俺が奢るぞ」

    「…来週は君の好きなソシャゲで新キャラ実装ガチャがあるだろうに」

    「大丈夫でーす天井分の石は確保済みでーす」

    「成程、課金の必要が無くて財布に余裕有りと。…ふふ。たまにはまぁ、奢られるのもいいかな」

    アベンチュリンが肩を竦めながらそう言ったことではい決まり、と話を纏め、穹はパネルに表示されたメニューに目を通す。
    事前にアーカイブで多少の知識は叩き込んできたおかげで、どれがどういうものかサッパリ分からないという事態にはならなかった。
    …分からない訳では、ないのだが。

    「ど、どれからにしよう…種類が多い…」

    例えば、マグロ。
    スシの中でも鉄板のネタであるマグロだと、パッと見ただけでも10種類程。
    他にもサーモンやエビ等も、部位や産地やトッピングの違いでかなりの種類があるようだ。
    画面に表示された写真もどれも美味しそうで、始めのメニューを中々決めきれない。
    穹がうんうんと唸っていると、それを見守っていたアベンチュリンが『僕が決めてもいいかな?』と一言断りを入れてからいくつかのスシをピックアップして注文してくれた。

    「タイ、カンパチ…タコ?」

    「スシは淡白な白身魚から、っていうのがセオリーらしいよ。僕も人から教えてもらった話なんだけどね、君も覚えておくといい」

    タンパクなシロミザカナ、とオウム返しする穹に、アベンチュリンはスシを食べる順番について教えてくれた。
    最初はタイ等のさっぱりした魚で、白身魚でも脂の乗ったブリ等は後からで、それらを味わった後に味の濃厚なマグロ等を…と語られる話を聞くこと数分。
    『おまたせしました!』という大きめな音声が流れ、穹とアベンチュリンは揃って肩を跳ねさせる。
    テーブル横のレーンがスルスルと動き、注文したスシが届いた。
    結構早い、と感心しつつ、備え付けの醤油とワサビを皿に出す。
    これらを魚にちょんちょんとつけて、食べる。
    それがスシの食べ方だそうだ。

    「よし!じゃあスシも来たことだし、いただきまーす!」

    「いただきます。…穹くん、箸使うの上手いね」

    「羅浮で慣れた!丹恒もだけど、景元がご飯連れてってくれた時とか、あと椒丘と火鍋食べに行った時も箸の持ち方やマナーをよくレクチャーされてさ…ん、むぐ。…〜っ!?」

    食べたタイをごふ、と噴き出しそうになるのをぐっと堪え、用意しておいたお茶を飲む。
    他の男の名前が並んだせいか、穹の話の途中から少し面白くなさそうな顔をしていたアベンチュリンも、顔を真っ赤にした穹を見て『大丈夫かい!?』と心配そうにテーブルへ身を乗り出した。
    心配ない、となんとか手で伝えつつ、口の中のものをごくんと飲み込んで息をつく。

    「っはぁ…鼻がめちゃくちゃツーンてした…うぅ、涙もちょっと出てる…」

    「あぁ、ワサビをつけすぎたのか…ほらもう1杯ついだよ、飲んで」

    「ゔ〜」

    ついでもらったお茶をまた飲んで、鼻を襲った未知の感覚がようやく消えた。
    どうやらワサビはトウガラシや山椒とはまた違った辛味を持つようで、安易に食べるべきものではなかったらしい。
    ありがとう、とアベンチュリンに礼を言ってから、今度はワサビをつけずにタイのスシを食べる。
    先程はワサビショックで全く分からなかった旨みが、噛めば噛むほど口の中に広がっていく。
    幸せそうに咀嚼する穹を見てホッとしたように笑ってから、アベンチュリンもまたスシを口にした。

    「…ン〜♡うま…これがスシ…」

    「…予想していたよりネタの質が良いな、この値段でこの味か…うん、確かに評判になるだけはある…」

    何事か呟きながらじっくりとスシを食べるアベンチュリンをよそに、穹は気になったものからパクパクと食べ進める。
    タコ、こりこりもちもちして美味しい。
    カンパチ、クセが無くあっさりとしていて美味しい。
    エビ、茹でてある。ぷりぷりで美味しい。
    生のエビ、もっとぷりぷりしてる。甘くて美味しい。
    ハマチ、あっさりしているが脂がのっている。美味しい!
    どんどん食べ進め、あっという間に皿が空になっていく。
    それに気付いたアベンチュリンがそろそろ追加しようか、とパネルを操作している時、画面を流れていくとあるスシが穹の心を突然奪った。
    サーモン、赤貝、そして満を持してのマグロ…と並んでいく注文欄に、穹が思わずタッチしたそのスシの名前が入る。

    「…えっと、穹くん?ここ、スシ屋だよ」

    「ここに並んでるならこれもスシだろ」

    「いやそれはそうなんだけどちょっと違うっていうか、こういう変わり種はもう少し普通のスシを味わってからの方が」

    「でも美味しそうじゃん」

    『…だめ?』とあえて少し目を潤ませてじっと見つめると、『その表情はずるいよ』という言葉と共に注文ボタンが押された。
    程なくして、注文の品がテーブルへ届く。
    サーモン、赤貝、マグロ、そして…パリパリチキンにぎり。
    パリパリチキン、にぎり。

    「…〜〜〜♡」

    生物だらけの中で異彩を放つきつね色のそれを口に放り込むと、名前の通りパリパリとした衣が歯を楽しませる。
    そして衣の奥から出てきたチキンは、旨みと肉汁をもってして舌を楽しませる。
    確かにスシは美味しい。魚、とても美味しい。
    だがずっと魚を食べていたからこそ、この突然の肉に口が歓喜するのだ。

    「…今までで1番幸せそうに食べてる…」

    「んん、だって美味しいし…ほらアベンチュリンも」

    「いや、僕は」

    「はい、あーん」

    皿に残っていたもう1つのパリパリチキンにぎりを箸で掴んでアベンチュリンの口元へ持っていくと、彼は少し葛藤してから口を開いた。
    ぐい、と押し込まれたそれをもぐもぐと噛みしめて、ごくんと飲み込んで、そして。

    「…美味しい…ッ」

    「だろ〜!?」

    もう1つ頼むか!と注文画面を開いた穹は、せっかくだしとパリパリチキンにぎり以外の肉のスシもタッチしていく。
    まるごとハンバーグにぎり、クロゲワギュウのにぎり、豚塩カルビ。
    魚も美味しいが、肉を見るとテンションが上がってしまう。
    男の子は7割方、肉が好きなのだ。

    「っ、そうだ!汁物はどうだい?ウドンや赤出汁はスシによく合う優しい味わいの────」

    注文欄が肉で埋まっていくのを止める為か、アベンチュリンは穹の意識を別のものへ向けようと画面を操作する。
    麺類、と書かれたそこをタッチして、まず表示された商品。
    ピタリと止まるアベンチュリン。
    『おお、美味しそう』と目を輝かせる穹。
    アベンチュリンがすぅ、と息を深く吸って、吐いて、トンとパネルをタッチする。
    濃厚エビ味噌ワンタンメン。
    男の子は7割方、ラーメンが好きなのだ。
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