乙直ボツプロット2本ごそごそ 物音で目覚める直哉ちゃん
巨大なリュックサックを背負ったネコ骨ちゃんがいる「なんやねんその荷物……」
「おはようございますニャ」「どっか行くん」「今日は狗巻くんたちとピクニックに行くんですニャ」「中身なんそれ……」「米持ってってどないすんの……」「みんなでおにぎり作って食べるのニャ」「へえ 屋外で使える炊飯器なんかあるんやね」「ニャ……」
じゃこじゃこじゃこ(パジャマでお米といでる直哉ちゃん)
「君ほんまにアホやなあ なあ アホやんなあ」「ニャ〜」早炊スイッチオン
タッパーに全部分けてリュックに入れてあげる 「はよ行き」「ありがとうございますニャ」「いってきまーす ニャ」ととと……
ネイルを気にしてる直哉ちゃん
おしまい
◆
遠い黄泉(とおいよみ)
もう終(しま)いやねと。
自分が死んでゆくのを他人事のように遠くで感じていた。
薄れゆく意識の中、視界の端に一人の男を捉える。
彼奴は「力を貸してください」「貴方の力が必要です」と、
そんなみっともないことを容易く言ってのけた。
ちっとも心はこもっていないようだが、不思議と悪い気はしなかった。
特級の術師が自身に跪く姿は。
後から考えてみればあの時既に乙骨の術中に嵌っていたのかもしれなかった。
ここでは、死にかけの自分を拾った奇特な男の話をさせてほしい。
「なるべく人型で現れてほしい」という気色悪い要望があるものの、
人間時代の容姿は割と気に入っているのだ。
人型でいると幾分か呪力は消費するものの人間の手足は扱い易いことに変わりない。
特級の呪術師ということもあり乙骨には歯ごたえのある任務が多く与えられている。
乙骨の任務には例外を除き常に同行していた。血を見るのは良い。そもそも戦闘が好きだ。
そういうわけで、乙骨と共に過ごす毎日はそんなに悪くはなかったのだ。
最初は。本当に最初は。
さて、乙骨との間に主従関係があるとは言え何も自分は乙骨の一部になったわけではない。
そのための、月に一度の呪力供給。直哉にとってはこれが大きな問題であった。
気色悪いだとか痛いだとかそんなものであればどれだけマシだっただろうか。
大変に不服であるが気持ち良いのである。
それも耐え難いほどに。
そして一度では終わらせない図太さも持ち合わせているのだ。
そもそもこいつは恋人の呪霊を使役していたと言うではないか。
端(はな)から下心があって自分に近づいたのかもしれなかった。
こいつは殺風景な部屋にカレンダーを貼る。
そしてカレンダーに印をつける。
まさに「この日に犯しますよ」と言わんばかりに。
そして印が近づくと鼻歌を歌う始末なのだ。
見た目麗しい青年(勿論自分のことだが)相手とは言え実態は只の呪霊である。
常識外れ。病気。頭のねじが何本も外れている。