進捗『わたくしの主はどこですか』
『お前さんの担い手は戦場でおっ死んで戦が終わった、にしてもあのバカにそっくりだ』
『わたくしは溶けるのですか? 武器だから』
『いいや、鎮魂に使うにさぁあくまで名目だがな』
『どうして?』
『小競り合いあがあるかさぁ』
そうして、わたくしは神社に奉納されて人間の祈りを聴いていた。どこに届けらいいのか解らなくて神主に質問をした。
「人は脆いからね。ただ聴いて慰めれば良いのさぁ」
「慰めるとはなんですか?」
「話を否定せず。こう抱きしめてやればいい」
神主はとても暖かくて声が聴こえた。
《付喪神と言えど温かいなぁ。こんな平和が続けば良いんだがぁ。私はもう戦えないからなぁ》
「そうですね。コレが続けば良いですね」
「やはり聴こえいたか」
「? 何を」
「人間の心の声さ……あまり口に出していけないよ。内にとどめておきなさい」
「どうして」
「争いの種になる。そして、お前は心をしっかりと保てるようになるんだよ。小倅の顔をした子が亡くなるのはもう懲り懲りだ」
そして、わたくしはその神社の御使いとして人間達の前に出て交流をした。人間があまりにも脆くて愛しくてだから声をたくさん聴いて慰める方法をたくさんしった。
ある人間には飯を作ってやり、ある人間はただ話を聴いてやり、ある人間には昔話をしてやり、「貴方は悪くない」と言ったりもした。一番はただ抱きしめて背中を痛くならない一定の速度で叩いてやる事だ。皆一度泣くがすぐに立ち直った。
平和が続くと人の願いがちょっとだけ歪んでくる。アイツに不幸が来ます様にとか、タンスに小指ぶつけます様にとか。人の願いは千差万別なんだとこの時知った。わたくしは人に寄り添わないと消えてしまう存在だから、その祈りにもただよりった叶える力はないからただ、寄りったただ聴いた。でも人間は建前を使うから、表も裏もあって可笑しくなりそうだったでも、人間は脆いから話を聴いてやるモノがないと壊れてしまう。人間が壊れるのはわかり易い時とわかり難い時の二つあるから、守らなければいけない。
「最近不穏だな。お前さんの出番にならなければいいが」
「戦が起こりそうなんですか?」
「近隣の国が契約を反故する事が増えた。その内戦が起きる」
それは、嫌だなとわたくしは思った。武器なのに人殺しの道具なのに。
平和なんて呆気なく壊された。神主がいつもの衣装と別の衣装を纏っていた。確か鎧言うやつだった。
「お前さんを使う時が来てしまった」
「わたくしは構いませんよぉ」
「これは勝たねば。国が消えかねんのだ許せ」
「許すも何もわたくしは武器ですよぉ。貴方が気に病むことは何一つありませんよぉ」
「感謝する。そして済まない」