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    konyaaa1005

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    konyaaa1005

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    本をろくに読まないので小説を書くのが壊滅的です。許してね。
    夢が終わる前のオモリとマリのちょっとした会話です。捏造です。何卒…

    一つの夢の終わりのお話。「やった〜!俺の勝ちだ〜!!」

    紫色の世界に高らかで嬉しそうな声が混ざる。


    いつもの四人からオモリを抜いた三人が、目の前で遊んでいる。今日はトランプをやっていたようだった。

    硬い紙が擦れる音と、悔しがるオーブリーの声。

    それらの声が混ざって、世界のその場所だけがより濃い極彩色に染まったように捻じ曲がる。


    …夢の世界は不安定だ。

    一時の感情がそこに歪みをもたらし、隠すべき真実を露わにするようにその歪みは広がっていく。
    物語が続いていくのは世界が耐えきれるとき…夢の主の想像が続く時までになる。

    もちろん僕もその一部だが、
    …当然、見えない壁が僕とお友達を隔てているのだ。
    僕はまだ消えることはないだろう。夢が本当の意味で終わるまで、なんども世界をまわって、…何度も友達がいなくなる様子を見るのだろう。絶望の数ほど深くなる世界を回るのは別に辛くはない。
    はずだが、夢の主、サニーはそれをどう思っているか、僕にはわからないのだ。

    ある日オモリは、困った。というふうな気持ちを抱えていた。

    ある時から急にぱたりと、お友達が物語を進行させることが無くなった。

    みんなはもちろん、ピクニックの主、夢の案内役であるマリもそうである。
    サニーが願ったとおりの輝かしい日常が繰り広げられてそれが繰り返されているのだ。それほど嬉しく幸せなことはないのだろうが、こうも毎日同じことが続くと少し飽きるというものだ。

    …それはいつもの冒険でも同じことが言えてしまうとは思うけれど、それはもっと長期的なサイクルになっているし、何より展開も一つ一つ微妙に違うので、今まであまり問題は無かった。
    でも今回のは違う。一日ごとに全てがリセットしている。
    トランプの枚数や出す順番、座っている位置、一番に勝てる人、その後にすること、話すことの一語一句…光の位置…影の形…
    …その他諸々も全て一致しているのだ。

    オモリはもう一度、床に視線を滑らせた。

    僕には夢の主の思考はよっぽどでないと変えられない。夢をまるごと変えるなんて以ての外。
    だから、しばらくはこの夢に付き合わないといけないのだが…。

    そう思考してふと動きを止める。

    このままこの彩りに揺られていれば、いずれまた、この物語は動き出してくれるのだろうか…




    「あら、どうしたの?オモリ!オーモーリー!」

    はっと頭を上げる。
    いつの間にか目の前には、心配そうに僕の顔の目の前で手をひらひらさせているマリがいた。
    ずっと下を向いて考え込んでいたからだろうか、いきなり入ってくる鮮やかな色と光に目がくらむ。

    「…」

    「ぼーっとしちゃってたよ?眠い?」

    …サニーの願った世界なら、ここで眠いと即答したらすぐさまマリに膝枕の餌食にされてしまうのだろう。
    あいにく今はそんな気持ちになれない。
    首を横に振る。
    首を降ると、いつもの夢と違う香ばしい匂いに気がつく。

    「そっか、じゃあ…クッキーでも食べる?さっきヒロくんが焼いてくれたの!美味しいよ!」

    オモリのぶんも残してあるんだよ、と言ってくる目の前のお姉ちゃん。丁度良く焼き色の付いたクッキー。これでもかというほど漂ってくる甘いにおい。
    その誘惑は僕によく効く。思わず目を少し見開いてしまった。

    「じゃ、冷めないうちに食べちゃおうか!」







    なんだか久しぶりに食べたようなクッキーは温かく、美味しい。
    あんなにいっぱい一斉に焼くのにどうして全部の焼色が均一になるというのか。色々と凄いと思っている。

    森の中の静寂に、クッキーを食べる音が混ざった。


    「…」

    「それで、オモリは何に困っているの?」

    遊び場で遊んでいる皆の声に掻き消されない、よく通る声が僕の耳の奥をつつく。


    「…気づいた?」

    その言葉を聞いて、マリは僕に、明るく微笑みかける。


    「そりゃあ、私はオモリのお姉ちゃんだもん!我が弟の悩みに気づけないわけないよ!」



    …その言葉を受け、ふと一瞬夢が歪んだ。
    動揺、後悔を交えてほんの一瞬だけ揺らいだ。
    水の中で柔い水流に揉まれているような感覚とくぐもった声。
    濁流のようなノイズの中に微かな声が響く。


    ___僕の悩みに気づいて。

    ____僕、本当は…

    ______僕…____僕_________



    色々な感情が混ざり合って熔けて、黒く霞んでいく。
    これはいつの記憶だろうか、



    「___無理をさせすぎちゃったかな?」

    「…!」



    ずん、と体ごと落とされたかのような感覚に見舞われた。


    さっきまで鮮やかに紫に色づいていた景色がだんだんと色褪せて、そして白と黒に変わっていく。
    子どもたちの楽しい笑い声が途絶える。

    ______やっぱり、この世界は本当によく色が変わる。




    「昔から、________が好きだったの…完璧な演奏をしたかったんだ…私は…」


    「…」


    ぽつり、ぽつりと次々出てくるマリの言葉。


    こうなると、僕はそれを受け止めるしかない。黙らせるなんてことはできない。

    サニーが信じている言葉。あの出来事が起こったあとに考えた、マリの言葉。
    僕が、受け止めないといけないのだ。

    世界は止まっているというのに、風だけがただ吹き、ふとマリの髪が揺れる。
    髪の狭間にあの時の目が見えたような錯覚がした。

    こちらを見て微笑むマリの姿がやけに遠い気がして、そしてどことなく色褪せている気がして、思わず手を伸ばした。
    その手はマリの髪の毛ではなく、ただの空気を撫ぜていく。
    マリに触れられない。と気づいた。


    「…愛してるよ、サニー…」


    ぱり、と、この世界のすべてが少しずつ剥がれ落ちていく。
    黒い何かがこの世界を侵食する。
    もうこの夢は終わりなのだろう。
    聞こえもしない轟音の中で、ゆっくりと目を閉じた。


    「…………………愛してるよ…………」








    ホワイトスペースへようこそ。



    …いつものように、ニャーゴと話し、パソコンに日記を打ち込み、スケッチブックに絵を描き込む。


    この世界ははたして何回目なのだろうか、

    そう思考して、微かに赤に染まった手で白いドアをくぐった。



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