寮でウワサの猫先輩 放課後、鏡舎からハーツラビュル寮へと向かう石畳みの道すがら。はぁ、と吐いた自分のため息が静かに響く。
憧れの魔法士養成学校、ナイトレイブンカレッジに入学して浮かれていたのは良いけれど。数ヶ月も経つ頃にはすっかり意気消沈してしまっていた。
「う……ミィちゃん……」
手にしたスマホに映るのは実家の愛猫の写真。もふもふの毛並みに触れた時の感触が懐かしくて、無意識に手が空をかいて動く。
ミドルスクールの頃までは毎日当たり前に傍にいて、寝る時だってずっと一緒で。毎日世話を焼いては撫でていた。そのせいで数ヶ月触れられていないだけで落ち着かない。離れて暮らしたことなんて今までなかったから……こんなにも恋しくなるなんて思わなかった。
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