指先 カップを掴み、形の良い唇にそれが触れる。
もうとっくに冷めてしまったそれは、喉を潤す為か、カフェインを接種しているだけか・・・テーブルにカップを置くと、指先がキーボードを叩く。
「お待たせ藍湛。」
先人の返事を待たず、隣の席に付いた魏無羨は、テーブルの上に荷物を下ろす。
「まだ掛かる?俺も何か頼もうかな···」
隣で「季節の新作が、夕飯が、」と話し続ける魏無羨に、藍忘機は一瞬手を止め、軽く視線を向けると、再び正面のモニタを見る。
軽くそのモニタを覗き込んだ魏無羨は、身一つで立ち上がり、店先へと向かう。
程無く戻った魏無羨は、藍忘機が熱い視線を向けるモニタの横。藍忘機の視界の入る位置にカップを置き、隣に座ると、テーブルに置いたままのバッグに額を擦りつけ、藍忘機を横目で見つめる。
1158