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    nekogitune

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    チリ→オモ→←アオ漫画で力尽きた部分を文章化しました
    https://x.com/nekogitune/status/1762907513417253358

    力尽き供養バトルフィールドにはテラスタルをしたドオーとカラミングが睨みあっている。
    お互い体力はギリギリだった。

    チリ (お互い手持ちは一匹ずつ…!)
    アオキ(……次の技が決まれば!)
    チリ (耐えて反撃ができれば!)
    アオキ(反撃をかわせば!)


    ――――……


    激闘の末、ドオーもカラミンゴも倒れこんでいた。
    チリもアオキもパートナーの元へ向かう。

    チリ「ドオー、ゆっくり休んでな」
    アオ「お疲れ様です。帰ったらうまいフードでも開けましょう」

    二人はパートナーに声をかけ、ボールの中へ入れた。
    そして見合わせる。

    チリ「決着はつかんかったけど何かスッキリしましたわ」
    アオ「そうですね」

    バトルをし、冷静になったチリはふと思う。

    チリ(結婚なんて好きなモン同士でするのが当たり前…なにやってんだろうなあ)

    ため息をついた。

    オモ「素晴らしい勝負でした」

    バトルを見ていたオモダカが拍手をしながら二人の元へ向かってくる。
    その表情は笑顔だった。

    チリ「まったく、当事者ってのに他人事みたいに言うてなぁ?」
    オモ「そんな事ありませんよ。私なりに考えながら拝見しておりました」

    オモダカは二人を見る。

    オモ「…では、私の気持ちを聞いてくださいますか?」

    二人は頷いた。
    この人にならオモダカを任せられる。
    お互いそう思えるようになったのだ。
    二人はオモダカがどちらを選ぼうと受け入れるつもりだった。

    オモダカはアオキの前に立つ。

    オモ「私は貴方が好きです……アオキ」
    アオ「トッ……オモダカさん」
    オモ「私自身でもなぜ貴方が好きなのか分かりません。貴方の事を考えたところで問題点ばかり思いつくというのに…理屈ではなく、惹かれてしまうのです」

    オモダカは苦笑いした。

    オモ「恋心というものは不思議ですね」

    アオキは目を見開き、ほんの少しだけ笑った。

    アオ「自分も…あなたのことは面倒な業務を言い渡す個性的で厄介な上司だと思っていますよ」
    オモ「ひどい言いようですね…」
    アオ「業務は好きではありませんが…そんなあなたが嫌いではない…いえ、好きだから、あなたからの面倒な業務をこなしてるんですよ」
    オモ「……色々と言いたい事はありますが…話を戻しましょう」

    オモダカは膝を折り、手を差し出した。

    オモ「アオキ、私は貴方と同じ気持ちで心から嬉しく思います」
    アオ「自分も…同じです」
    オモ「ふふ…」

    二人は微笑む。

    チリ「……」

    その様子を、チリはばつが悪そうに眺めていた。

    オモ「チリ」
    チリ「あーその、なんかすいませんでした」

    チリはその場から立ち去ろうとする。
    このままでは泣いて醜態を晒してしまいそうだったからだ。

    オモ「待ってください、チリ」

    涙が溢れる前に立ち去らねば。

    オモ「チリ!」

    オモダカはチリの腕を掴む。

    オモ「私の人生には貴方が必要です!」

    チリの足が止まる。

    オモ「チリはいつだって私の至らない部分を補い、傍にいて支えてくれました」

    チリを掴むオモダカの力は強かった。

    オモ「これからも傍にいてほしいです」

    まるで離さない、と言っているかのように。

    オモ「恋とは言えないかもしれませんが、チリの事を強く想っています」
    チリ「……失恋したばっかの人にそないな事言うなや」

    ぐす、と鼻をすする。

    チリ「だいたいなあ!チリちゃんとトップの気持ちは違うんや」

    もう醜態でもなんでも晒してしまえ、と。
    チリはオモダカの方を向く。

    チリ「こちとら総大将の事、そういう目でも見てるんやで?トップはチリちゃんとセックスできるんか?なあ?できな」
    オモ「できますよ」
    チリ「え?」
    オモ「結婚…パートナーとはそういう事も含む関係でしょう?私がそういった事も考慮せず提案を了承したとでも?……貴方が私と結婚すると言ってくれて、私がただその場の勢いだけで了承したと思いましたか?」

    オモダカはチリを睨む。

    オモ「だとすれば心外です。恋心に勝る程、私が共にありたいと思う相手は貴方なのですから」

    チリは鼻で笑った。

    チリ(ズッルいなぁ…)
    アオ(……)

    二人を、アオキは複雑な心境で見ていた。
    オモダカは二人を見合わせる。

    オモ「私の中で二人は特別な存在。どちらかなどと選べる事ではありません。そして、パルデアでは重婚は認められていません……よって、私はチリともアオキとも結婚しません」

    それが、オモダカの出した答えだった。


    が、それだけではなかった。


    オモ「ですがこちらをお渡しします」

    オモダカは二人にカギを渡した。

    チリ「カギ?」
    アオ「……まさか」
    オモ「私の家の合鍵です」
    チリ「へ?」
    オモ「二人はこれから私の家に自由に出入りして構いません。なんでしたら部屋もご用意しますよ。共に暮らすのもいいでしょう」
    チリ「なに言うとんのや…」

    チリは呆気にとられる。

    オモ「結婚だけが共にいられる方法ではないでしょう?」
    アオ「…全て察しました。あなたは自分ともチリさんとも関係を持っていたいという事ですね」
    オモ「ええ、その通り。このパルデアではチャンピオンが複数人いるのですから、愛する人だって一人だけしか選べないなんて事もないでしょう?」
    チリ(あー…ポリアモリーってやつか…)

    ※ポリアモリー:関係する全員の同意を得たうえで複数のパートナーと関係を結ぶ恋愛スタイル

    オモ「私のこの決断が優柔不断……またはそのような関係では嫌なら鍵を返してくださっても構いません。もしこの身に今、命が宿っていたとして、二人ともその鍵を返したとしても、信頼できるベビーシッターや家政婦を雇います。何も心配はありません。責任は全て私が持ちます……といっても、鍵を返されてしまったら寂しい、ですが……」

    寂し気な表情の後、にこり、と微笑む。

    オモ「二人がどうされるのか、今すぐに返事を求めているわけではありません。ですが、その合鍵は今からでも使えます。この意味 じっくり考えてみてくださいね」

    チリとアオキは、渡されたカギを見つめた。


    **


    【後日談】



    チリ「ただいま~!」

    チリは家のカギを開け、上機嫌で帰宅する。

    オモ「おかえりなさい、チリ」
    チリ「胎教に良いって曲のCD買ってきてみたで!試しに聴いてみ…」

    リビングのソファに腰かけているオモダカの膝の上にアオキの頭があった。
    アオキは、オモダカのお腹の音を聴いているようだった。

    チリ「アオキさん来とったんか」
    アオ「お邪魔してます。おお、蹴ってきました。元気ですね」
    チリ「来るなら来るって事前に連絡してもらわんと、アオキさんごっつ食うから食材足りなくなるっての…」
    アオ「…ご心配なく。食材は買ってきていますし、今日も晩飯は自分が作ります」
    チリ「しっかし意外やなぁ。通いに来る度に料理するんやもんな。他の家事もやってってくし」
    アオ「まあ……お腹の子の為にも栄養を摂ってもらいたいので」
    チリ「ほ~?求愛給餌ってか。さすがひこうタイプも扱うだけあるなぁ?でも同棲してるチリちゃんのが毎日求愛給餌しとるからな~」
    アオ「……そもそも、オモダカさんとチリさんの気持ちを配慮して自分は同棲を遠慮したのですが。まあ、会いたいときに会わせてもらってますが」
    チリ「ご配慮感謝いたします」

    二人の様子に、オモダカは思わずくすくす笑う。

    アオ「すでにベビー用品が豊富に揃ってますね」

    部屋の隅にベビーベッドや様々なベビー用品がたくさん置かれていた。

    チリ「もうすぐ産まれてくるからなぁ」
    アオ「……オモダカさん似なら問題ないと思いますが自分似でも可愛がれるんですか?」
    チリ「は?オモダカさんから生まれてくる子が誰に似てようが可愛いに決まっとるやろ。元々はチリちゃんがこの子の親になる予定やったんやで?」

    会話をするたびに喧嘩をする二人に、オモダカはもう耐え切れずと笑い出してしまった。

    オモ「アハハハハ!仲がたいへんよろしいことで」
    チリ「気色悪い事抜かすな!」
    アオキ「そうですよ」
    オモ「…ふふふ、アオキは当然父親ですが、チリがきっかけを作ってくれなければこの子が出来る事はなかったのですから、チリだってこの子の母親ですよ」
    チリ「そうなるんかなあ」
    オモ「ええ、そうです」

    オモダカはお腹を撫でる。

    オモ「貴方には私と、素敵なパパもママもいるのですよ。だから安心して産まれてきてくださいね」

    その様子を見ながら、チリもアオキも思わず微笑んだ。




    END
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