メイドパロなグエスレ①ジェターク財閥私有地、ジェターク家屋敷玄関。
「今日から貴方様の傍に置かせていただくメイドです。」
そう言って、教育係が小さな背中を押す。
大きな大人の手に促され、足元で隠れるように立っていた少女が、おずおずと前に出される。
「何なりと申し付けてやってくださいね……ほら、スレッタ。挨拶をしなさい。」
ポンポン、と背中を優しく叩かれて、スレッタと呼ばれた少女は深々と頭を下げる。
「……スレッタ、マーキュリー、です……ふ、ふつつ、か、もの、ですが、よ、よろしく、おねが、します」
たどたどしく、噛み噛みで挨拶をする少女、スレッタ。
燃えるような深紅の髪を束ねて、小麦色の肌をした手を痛いくらいに握りしめ、カタカタと身体を震わせて、目の前に立つ少年……今から彼女の主人になるグエルに何度も頭を下げる。
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