くつした事変 洗濯物の係は周子舒だ。
家事一般が全て苦手だった遥か昔。それはもう過去のことだ。
掃除、洗濯は長い生活をへて普通程度にはこなせるようになった。
六合心法を成し、ずっと二人で生きていく。
それを決めたからには、一方に負担がかかり過ぎるのは嫌だ。
周子舒は真面目な性格だ。だから精進した。
ある時、力のぬき方を覚えた。そうしたら、案外あっさりとこなせるようになった。
そうか、今まで力を入れすぎだったのか。
そんな事に気がつくまで随分と時間がかかったな、と自らを笑ったのは確か七百年ほども昔。
まぁ、いまだに料理のほうはからっきしダメなのだが。
「それまで上手になったら私がつまらないだろ?」
白髪の男が満面に笑みをたたえて言うのだから、それは良しとする。
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