たぶん、一生に一度の大恋愛だった。
そして、一生に一度の大失恋だった。
卒業後、そこそこの大企業に入社してそこそこに稼ぎ、ばあちゃんを養いながらそこそこ不自由ない暮らしを送っていたオレだが、ひとつだけ心残りがあった。
レオナさんのことだ。
オレは学生時代、レオナさんと付き合っていた。
と言っても学生にありがちなキャピキャピした感じではなく、たまにレオナさんが笑ってくれると嬉しかった。それくらいの関係だった。
当時、卒業したらどうするつもりなんだろうなあとぼんやり考えていたが、ぼんやり考えているうちにレオナさんは卒業し、オレも卒業した。
卒業すればもちろん、第二王子と一般市民の人生が交わる機会は一切ない。
そう、オレの一生に一度の大恋愛は、この上なくサラッと終わったのである。
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