神父レノックスと吸血鬼ファウスト「吸血鬼だ!」
「逃がすな!」
「娘たちは家の中に!」
「どっちに行った!?」
朝日が昇りだし、朝露の輝く森に不似合いな大声がとぶ。銃や斧、鍬を持った男たちが大勢集まっていた。
男たちの怒声を聞きながら足を引きずって歩く。ズルズルと血の跡が地面に付く。
これでは見つかるのも時間の問題だ。
(鳥にでも姿を変えて早くここから逃げ出さないと…)
どんどん意識が遠ざかっていくのが分かる。
遠くで男たちの声が聞こえる。
早く逃げなくては。
焦る心とは裏腹に、体が言うことをきかない。
「…クソッ!」
悪態をついて、そのまま気を失った。
教会の前で体格のよい大男が斧を振るい、薪を割っている。
一段落ついて休んでいると、男たちの集団がやってきた。
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