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    イロイロキイロ

    @yellow_b_type

    レノックスとファウストが二人で幸せになるのを祈っている。
    それ以外の相手とのCPは勘弁してください(+の関係は好きです)

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    イロイロキイロ

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    フィガロの話。
    ふわふわとした雰囲気漫画のネームみたいな感じです。忘れないうちにメモ。

    白の回旋曲(ロンド)―天秤は 釣り合ってなくてはならない―

    大切に 大切にされていた
    何の不満もなく 愛しさが胸にあり
    守りたいと 思っていた

    ―ある日突然 天秤はひっくり返る―

    いまはみんな しろいゆきのした


    天秤がひっくり返った時 大事なものがどこかへ落ちた
    大切な 大切なもの
    私はそれを探さなくては 見つけなければ
    だってそれは 彼らが私にくれたもので
    残っているのは それしかないのに
    探さなくては 見つけなければ
    彼らがくれたもの 彼らが確かにいたという証
    ⬛︎を 手にいれなくては


    ―天秤は 釣り合ってなくてはならない―

    私を拾った双子。自分より後に拾われた弟のようなもの。
    歪ではあるけれど、ここにはちゃんと⬛︎のようなものはある。
    きっと ちゃんと手に入る はずだ

    ―天秤は 傾く―

    血まみれの片割れ。永遠に分かたれた魂。響き渡る泣き声と笑い声。
    また⬛︎が転がり落ちてゆく。


    弟弟子と共に世界を蹂躙する。
    最後に手を離された。
    きっとここに ■はなかったのだ

    ―天秤は 傾く―

    流星雨の夜に二人の青年がやってきた。
    天命を感じて力を貸す。

    ここでは きっと自分の欲しい■は貰えない そっと去ることにする

    ―天秤は 傾く―

    何度も何度も 天秤は傾く




    新しい国を作ろう。
    今度は雪に埋まることのないように 南がいい。
    危険なモノは全部取り除いて。
    危険なものは全部滅ぼしておこう。
    魔法使いも人間も一緒に暮らせる国にしよう。
    自分はお医者さんになろう。
    みんなにありがとうと言ってもらえるような優しいお医者さんに。
    そうすれば⬛︎が手に入るかもしれない。

    少しずつ少しずつ住める場所が増えて。
    少しずつ少しずつ人が増えて、魔法使いもほんの少し増えた。

    北の知り合いの魔女がきた。
    流星雨の夜に彼とやってきた大きな男がきた。

    魔女は人間と恋をして子を産んだ。
    自分の命よりも子の誕生を選んだ。
    『産まれてくる子どもは 南の魔法使いを全滅させる』
    それでも予言の子を産んで、魔女は死んだ。

    後悔のない幸せそうな顔をしていた。
    彼女は⬛︎を手に入れていた。

    同じ北生まれの魔法使いなのに 彼女と自分で何が違うんだろう。


    黒いネクタイを解きながら愚直な大男は言う。
    「あなたが難しく考えすぎなだけですよ」
    何を言っているのか?というこちらの視線も全く気にせず、羊飼いの服装に着替えて箒を出す。
    「堅苦しい定義に当てはめようとするから、あるということに気付いていないだけです」
    「何それ、哲学?」
    「ですから、そういうところですよ」
    呆れたような、困ったような顔でこちらを見てから山へと飛んでいった。


    『産まれてくる子どもは 南の魔法使いを全滅させる』


    ―天秤は 釣り合ってなくてはならない―

    さぁ どうしようか?




    それから運命の輪がくるくる廻り出して。
    会いたかった人にもそうでもない人にも会いたくなかった人にも会った。

    上手に上手にバランスを取って。
    上手に上手にひとを使って。
    きっとうまくいっている。
    きっとうまくできる。
    世界を上手に回していける。

    ―天秤が カタカタ揺れる―



    困ったことも 死にかけたこともうまく乗り越えられた。
    きっとうまくいく      (みんな無事にすんで良かった)
    何だか気分がいいのだから  (あの子たちとちゃんと話をするよ)
    こんなに気分がいいのだから (これは君に言わなくてもいいよね)
    自慢したいくらいなんだから (それは彼に言わないでいろよ)

    ―天秤が カタカタ揺れる―

    「ほら!見てよ!」
    「見てよ!見てよ!」

    予言の子は 目覚め始め
    自分の言葉が 届かない
    このままではいけない このまま傾けてはいけない。
    釣り合わせて 均衡を保たなくては。

    どうやって?


    ―天秤が カタカタ揺れる―


    傾くたびに零れていた 大事なモノを
    傾くたびに零れているのに 気が付かずに (本当に?)
    気が付かないからどんどん どんどん減っていって (本当に?)
    だからうまく釣り合わない (目を逸らしていただけではないのか?)
    カタカタカタカタ 揺れて 揺れて 揺れて (きっとこれは自業自得で)


    零れたモノを戻さなくては 
    零れたモノを探さなくては
    それから もう一度 やり直して

    ―――零れたモノすら分からないのに?



    しろいせつげんのなか 立派な鹿が しずかにたたずむ



    ―天秤は カタカタ カタカタ 揺れて 揺れて 揺れて―  



    目に映るのは笑いながら母親の呪文を唱える予言の子。


    新しい国は雪に埋まることのないように南がいい。
    危険なモノは全部取り除いて。
    危険なものは全部滅ぼしておこう。
    魔法使いも人間も一緒に暮らせる国にしよう。


    予言の子は母親の呪文を唱える。
    嬉しそうに 笑って 笑って 笑って

    ―天秤は        ?―



    たしかに じぶんは つくりたかったのだ
    やりなおしたかったのだ
    しあわせな しあわせな あの―――

    しろいしろいせつげんのなか ゆきやまのふもと
    立派な鹿は まだ一人でいる
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